乳房再建
乳房再建とは、乳癌手術後変形してしまった乳房の形を取り戻し、患者さんが明るく前向きに生きていくことをサポートすることを目的とする、高い整容性が求められる手術です。当院ではブレストセンターを設立し乳腺の病気に関して乳腺外科、放射線科、腫瘍内科の医師及びスタッフと協力し診療を行っております。
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1. 方法
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自家組織による再建
患者さん自身の組織を胸部に移植する方法です。広背筋や腹直筋による再建は、職業的な問題がなければこれらの筋肉を採取し別のところに移しても日常生活には問題がないことと、再建に必要な十分な量の組織を移動させることが可能です。乳癌手術とともに大胸筋を合併切除された場合や術後の放射線照射により皮膚の血行に問題がある場合には多く用いられている方法です。乳房の大きさや体格によりどちらの皮弁を選択するかが決まります。近年、腹直筋を犠牲にせずに腹部の皮膚や脂肪組織を下腹壁動静脈の皮膚に流入している細い血管(穿通枝)をつけた遊離皮弁として再建する方法が行われるようになりました。筋肉を採取しない長所はありますが細い穿通枝を腹直筋から外して胸部の血管にマイクロサージャリー技術で顕微鏡下に縫合しますので手術時間が長くなる短所があります。
皮弁採取部位に傷跡が残りますが、形成外科的な縫合をしますので、時間と共にかなり目立たなくなります。
●腹直筋皮弁
片側の腹直筋の頭側を、上腹壁動静脈を栄養血管として皮膚と脂肪組織をつけて胸部に移動させ乳房を作成。●広背筋皮弁
脂肪をつけた広背筋を、胸背動静脈を栄養血管として胸部に移動し乳房を作成。●深下腹壁穿通枝皮弁
深下腹壁動静脈の穿通枝を挙上し脂肪と皮膚を、手術をした胸部に移動、顕微鏡下に血管吻合して乳房を作成
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2. 時期
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1次再建:乳癌切除と同時に再建手術を行なう。
2次再建:乳がんの切除の後に一定の期間をおいて再建手術を行う。
1次再建 2次再建 長所 乳房喪失感がない
肉体的負担が少ない考える時間が十分ある
乳癌手術をした病院以外で再建手術を受けることが可能短所 考える十分な時間がない 手術回数、費用の増加
手術部位がのびにくい瘢痕組織となる
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乳腺外科チームと密接な連携をとることによって、それぞれの患者さんの病期(がんの状態)を十分に把握し、適切な再建方法や再建時期を選択することが可能となります。
乳房再建はがん治療の延長線上にあると私たちは考えています。
女性にとって大切な臓器であるからこそ、おなじ病院のなかで密接な連携をとる「チーム医療」を行い、チームが一丸となって患者さんのQOL(クオリティ オブ ライフ)の向上に取り組んでおります。