公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院

公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院

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主な研究活動の紹介

主な研究活動の紹介

耳鼻咽喉科・頭頚部外科

金丸 眞一

研究代表者
耳鼻咽喉科・頭頸部外科主任部長
金丸 眞一

金井 理絵

研究代表者
金井 理絵

研究テーマ 
鼓膜再生の元になる組織幹細胞/前駆細胞の同定
鼓膜再生を応用した新鼓室形成術の開発と外耳道軟部組織再生療法の開発
  • 研究目標
    当院で研究開発された世界初の鼓膜再生療法が世界初の鼓膜再生治療薬であるリティンパ®とともに2019年11月に健康保険の適用となりました。これに伴い、北野病院のみならず全国の病院/クリニックで単純な鼓膜穿孔に対し、低侵襲な再生療法が可能となりました。さらにこの治療を日本発の再生医療として世界のスタンダードな治療とするため、米国、ヨーロッパで臨床試験をする予定です。 一方、その大半を占める慢性中耳炎などによる重症の鼓膜穿孔を有する患者は、従来の侵襲の大きい鼓室形成術が必要です。これに対し、鼓膜再生療法を応用した内視鏡による低侵襲な新鼓室形成術の開発および鼓膜と連なる外耳道軟部組織の再生療法の臨床治験に取り組んでいます。また、鼓膜再生療法は鼓膜穿孔辺縁の細胞を誘導することによって細胞移植を要することなく、鼓膜の組織を再生することができます。鼓膜再生の源になる前駆細胞の局在や動態を解明することで、効率的な細胞誘導を行い、鼓膜再生療法の成功率向上を目指しています。
  • 研究内容
    鼓膜再生療法

  • 外耳道再生

    1,外耳道内に発生した良性腫瘍 2. 外耳道腫瘍の切除、3.軟部組織欠損部分にFGF(塩基性線維芽細胞増殖因子)を浸潤させたゼラチンスポンジで被覆し外耳道充填4.ゼラチンスポンジ表面をフィブリン糊で被覆、5.医療用被覆材で耳介を密閉、被覆材およびゼラチンスポンジは手術3週後に除去、6.半年後、再生した外耳道と鼓膜

    真珠腫や外耳道腫瘍切除後、さらには鼓室形成術後の外耳道骨組織の広範な露出に対して、これまでは自家組織の移植による侵襲の大きい手術しか治療法がありませんでした。外耳道軟部組織の再生は、鼓膜再生と同様に組織工学的手法により正常組織の再生が可能な治療法で、本治療法もリティンパ®を用いて治療を行います。医師主導型多施設間臨床治験を予定しており、健康保険の適用を目指し研究中です。


研究テーマ 
マウス鼓膜穿孔閉鎖過程の細胞動態の解明
  • 研究目標

    ヒトの鼓膜は上皮層(上皮細胞主体)、中間層(線維性組織主体)、粘膜層の3層構造である。マウスの鼓膜も同様に3層構造(図5:強拡大)

    鼓膜穿孔モデルマウスを用いて穿孔閉鎖過程における細胞動態を調べ、さらに新鮮創化によっておこる細胞誘導のメカニズムを解明することを目標としています。 とくに鼓膜の形態と強度の維持に重要である中間層の細胞動態にわれわれは注目しています。

  • 研究内容
    穿孔を作成したマウス鼓膜の経時的な変化を免疫組織学的手法を用いて評価しています。中間層と上皮層の細胞動態の違いや、増殖能の高いKi67+細胞の局在・動態の評価を行っています。

マウス鼓膜穿孔閉鎖過程の経時的変化

K5:Keratin5(上皮層のマーカー), VIM: Vimentin(中間層のマーカー), Ki67 (増殖能のマーカー)

歯科口腔外科

高橋 克

研究代表者
歯科口腔外科主任部長
高橋 克

  • 研究目標
    USAG-1に対する分子標的薬であるヒト抗USAG-1抗体を投与し、歯を萌出させる治療法を目指す。
研究テーマ 
希少疾患先天性無歯症に対する歯数制御による歯の再生治療薬の開発。
  • 背景

    生まれつき歯が欠損している場合は先天性無歯症とされ、先天性無歯症の無汗性外胚葉異形成症(Ectodernal Dysplasia Anhidrotic:EDA)は、発症率が10万出生あたり15.8人と希少疾患に該当する。先天性無歯症患者は、顎骨の発達期である幼少期から無歯症となるため、義歯や歯科インプラントの適応が困難である。成長期にオーラルフレイル(かんだり、飲み込んだり、話したりするための口腔機能が衰える)の状態となり、栄養確保や成長に悪影響を生じやすい。治療は義歯や歯科インプラントによる人工歯を用いた成人以降の代替え治療などに限定され、根治的な治療として歯の再生治療の開発が強く望まれている。

    図1

    図2


  • 研究計画

    先天性無歯症モデルであるEda1等の遺伝子欠損マウスと過剰歯モデルマウスであるUSAG-1遺伝子欠損マウスの交配により、歯の形成が回復することを見出した(図1)。USAG-1を標的分子とする中和抗体1037個の作製し、それらの抗体のBMP、WNT signaling に対する活性化様式の違い、抗原認識部位の違いを考慮して、5個の中和抗体に絞り込み知財を取得した。(図2)。先天性無歯症モデルマウスに単回投与することにより、無歯症が回復することを見出した(図3)。原因遺伝子の変異に対し分子標的薬としてのヒト抗USAG-1抗体の単回投与で、欠損部位の歯を再生する革新的治療法を想定している(図4)

    図3

    図4

PLoS ONE 11, e0161067. 2016
Inflammation and Regeneration, 40, 21, 2020
Sci Adv, 7, eabf1798, 2021

形成外科

研究代表者
形成外科主任部長
鈴木 義久

研究テーマ 
末梢神経損傷を対象とする神経再生補助材の開発
  • 研究目標
    前立腺がん摘出後の海綿体神経叢損傷による勃起障害、子宮がん・直腸がん摘出後の骨盤神経叢損傷による排尿障害は生活の質の低下につながる。しかし、これら神経叢の損傷部の神経再生は不可能とされ放置されている。本研究の目的は、複雑な神経ネットワークを形成している神経叢の欠損の再建にも用いることのできるシート状の人工神経を開発することである。現在、共有結合架橋アルギン酸を用いてラットで有効性を評価している。
  • 研究内容
    ラットで、勃起障害・排尿障害が共有結合架橋アルギン酸を用いることで回復する結果が得られた。現在、PMDAの指導に基づき、非臨床POCデータを整え治験用プロトコール作成中である
研究テーマ 
骨髄由来単核球を用いた脊髄損傷の治療
  • 研究目標
    中枢神経の再生は困難で、脊髄損傷の治療法は存在しない。骨髄由来細胞を用いた脊髄損傷治療法の有効性を証明することが目的である。
  • 研究内容
    われわれは世界で初めて骨髄由来細胞を髄液内へ移植する方法を開発し臨床試験を行ってきた。現在、当院、滋賀医科大学、ベトナムダナン病院で臨床試験を行っている。ベトナムはバイク事故・転落事故が多く脊髄損傷が多発する。まず、ベトナムでの標準治療化を目指している。

呼吸器外科

黄 政龍

研究代表者
医学研究所副所長 兼 呼吸器外科主任部長
黄 政龍

住友 亮太

研究代表者
呼吸器外科副部長
住友 亮太

  • 研究目標
    基礎的研究やトランスレーショナル研究でえられた成果を、肺がん患者さんにおける臨床診療の現場に役立てることを目指しています。
研究テーマ 
バイオマーカーに基づく個別化化学療法
  • 研究内容

    肺がんにおける抗腫瘍剤関連バイオマーカーの発現を、北野病院の医学研究所で免疫組織化学法を用いて評価しています。TS発現が低い肺がんでは5FU系またはPemetrexed(Pem)を中心として、TUBB3発現が低い肺がんではタキサン系を中心として化学療法を行います。局所進行期肺がんの術後補助化学療法で有効性が認められています。

    AACR (米国癌学会)にて発表 2019.4.


研究テーマ 
バイオマーカーを標的とした核酸医療の開発

  • 研究内容

    より多くの癌患者さんに有効な治療法の開発を目指して、抗腫瘍剤関連バイオマーカーをターゲットとしたshRNA搭載リポプレックス(カチオニックリポソーム)を開発しています。

    Int J Oncol 38: 355, 2011
    J Control Release 255: 210, 2017
    Cancer Med 8: 7313, 2019


リウマチ膠原病内科

高橋 令子

研究代表者
リウマチ膠原病内科
高橋 令子

  • 研究目標
    多因子が継時的に複雑に相互作用して病態を形成している自己免疫疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)の病態の解明、「免疫学的寛解」の探索
研究テーマ1 
SLE病態の安定維持に寄与するSOCS1 (Suppressor of cytokine signaling 1)などの因子の同定とその役割の解明
  • SLE病態へのSOCS1とTregの関与背景
    代表者は、制御性T細胞(Treg)におけるSOCS1の可塑性防御による抑制機能維持の役割を解明してきた (Takahashi R JEM 2011, Takahashi R J. Immunol.2017)。これらの知見を元に、 SOCS1 のSLE病態への関与に関しての研究をさらに進め、SLE病態の再燃防止、安定維持の方法に発展させる。
  • 研究計画
    1. 患者血液、生検組織を用いて、 SLEの活動性とSOCS1発現動態の経時的変化、症状の重篤度とSOCS1発現量の相関、SLE患者におけるSOCS1の発現調節メカニズムなどを解析する。
    2. SOCS1欠損あるいはSOCS1トランスジェニックマウスなどのマウスを用いて、 SLE病態安定化に寄与するSOCS1の発現動態を解析する。
    3. SOCS1に加えて、 SLEの免疫学的平衡状態を維持する分子を同定し、その役割を解析する。
  • 参考文献

    Takahashi R, Nakatsukasa H, Shiozawa S, Yoshimura A. SOCS1 Is a Key Molecule That Prevents Regulatory T Cell Plasticity under Inflammatory Conditions.
    J Immunol. 2017;199:149-158.
    Takahashi R, Nishimoto S, Muto G, Sekiya T, Tamiya T, Kimura A, Morita R, Asakawa M, Chinen T, Yoshimura A.
    SOCS1 is essential for regulatory T cell functions by preventing loss of Foxp3 expression as well as IFNg and IL-17A production.
    J Exp Med. 2011;208:2055-67.

研究テーマ2 
SLEの免疫学的平衡状態の破綻、あるいは安定維持を司るサイトカイン関連分子の動態の解明
  • SLE背景

    SOCS1などの抑制性分子によるサイトカイン分子ネットワークの支配は複雑であり、どのように制御されているのか全貌は解明されていない (Yamada et al., Int Immunol (2006))。さらに、SLE患者病態でこれらサイトカインネットワークがどのように支配されているのか、どのようにこれらのネットワークを支配すればSLE病態を制御できるのか未解明である。サイトカイン関連分子の動態を解明することにより、 SLE病態の安定化維持に加えて、論理に基づいた至適免疫抑制施行による感染症や悪性腫瘍の発症の防御に発展させる。

  • 研究計画

    SLE患者末梢血などを用いたサイトカイン関連遺伝子と蛋白の発現定量解析を施行する。SLE患者の治癒過程で、これらの状態がどのように変化していくか、加えて病態との関連も解析し、統計学的解析にて重要分子、重要経路を探索する。

  • 総括

    免疫学的事象は、「正と負のバランス」が重要である。 SLE患者の病態制御で克服すべき問題の中で以下2点を重視する。1)不可逆的臓器病変の発症を防ぐためにも再燃させない治療方法の探索、2)非特異的治療に起因する感染症や悪性腫瘍の発症を防ぐ治療方法の探索である。目標達成のためには、このバランスの正確な理解が求められる。それらの知見を基に、SLEの「免疫学的寛解」とは何かを探索し、どのようにSLE病態を制御すべきかを解明する。

  • 特徴

    代表者は全国様々な施設にて、たくさんのSLE患者様の加療に携わって参りました。今後も、日々の診療で生じた気づきや疑問を基に、SLEの病因を解明すべく研究に邁進します。また、多くのSLE患者様が通院していらっしゃいます当院・研究所として、特に患者様の検体を用いた研究に注力して研究を進めます。将来、明解なSLEなど膠原病の原因を患者様とお話できることを切望しております。


消化器外科

研究代表者
消化器外科部長
上田 修吾

  • 研究目標
    難治性消化器癌の新規治療法開発
    先進医療/治験と臨床検体を利用したバイオマーカー研究
研究テーマ1
難治性食道癌に対する新規免疫療法治療開発

三重大学 珠玖 洋教授、影山慎一教授との共同研究。
がんワクチン、遺伝子改変細胞療法等を患者さんに投与する治療開発型の臨床研究。
Oncotarget 9(89):35997, 2018; Clin Cancer Res 21(10):2268, 2015
J Trans Med 11:246, 2013; Vaccine 27(49):6654, 2009

研究テーマ2
腹膜播種転移を有する胃癌に対する腹腔内化学療法治療開発

腹膜播種を有する胃癌症例を対象に、腹腔内化学療法を先進医療として実施し、有効性と安全性を検証する。周術期化学療法とConversion surgeryの集学的治療により予後改善を目指す。

学会発表
American Society of Clinical Oncology (ASCO) 2018
European Society for Surgical Research (ESSR) 2014

研究テーマ3
食道癌におけるFGFR3IIIcアイソフォームの臨床病理学的意義の検討

京都産業大学 瀬尾美鈴教授との共同研究
消化器癌臨床検体を使用して悪性度や治療有効性に関する新規バイオマーカーを同定する。
J Histochem Cytochem 64(1):7, 2016


研究代表者
消化器外科
井口 公太

研究テーマ 
質量分析技術を応用した肝疾患バイオマーカー研究
  • 研究目標
    基礎研究・臨床研究にて抽出したバイオマーカーを、実際に患者さんの診療に役立てることを究極の目標としています。
  • 研究内容①
    肝臓癌や転移性肝癌の治療において中心的な役割を担っているのが肝切除です。肝切除は手技の向上等により安全に受けて頂けるようになりましたが、肝機能の悪い患者さん、あるいは大量に切除しなくてはいけない患者さんには肝不全を発症するリスクが存在します。ラット肝切除モデルにおいて、肝切除後肝再生をする動物と肝再生出来ずに肝不全死に至る動物では、何が臨界点・閾値となっているのか、肝臓内メタボローム(代謝物質)の観点から探っています。
  • 研究内容②
    食生活の欧米化に伴い、肝臓癌発症の原因としての、肥満・脂質代謝異常・高血圧等を主徴とするメタボリック症候群が注目されています。メタボリック症候群の肝臓における表現型である非アルコール性脂肪肝炎(NASH)を背景としたブタ発癌モデルを我々は作成しました。本ブタモデルを利用し、正常肝から脂肪肝、NASH、肝硬変、発癌に係る時間的過程を血液と肝臓内プロテオーム(タンパク質)を解析し、バイオマーカーの抽出を行っています。
  • 特徴
    ブタNASH肝癌モデルにて、血清二次元電気泳動の手法にて有意な変化を示すタンパク質としてITIH-4を抽出しました。ITIH-4は実臨床でも患者さんの予後に関連するマーカーとして妥当性が確認されました。


AASLD 2016発表 Manuscript in submission(Nakamura et al)

 

血液内科

稲野 将二郎

研究代表者
血液内科 副部長
北野カデット研究員

稲野 将二郎

  • 研究目標
    悪性腫瘍に対して、臨床からその生物学的特性を解き明かし、治療につなげることを目標とする
研究テーマ1
エクソソームを介した細胞内蛋白の制御

  • 背景
    次世代シーケンサーを代表とするがんの生物学的特性の解明により、がんのアキレス腱となる細胞内の分子が多数同定されてきました。しかしながら抗体により自由に標的化できる細胞外蛋白に比べて、細胞内部を標的化する手段は乏しいと言わざるを得ません。加速する個別化医療のニーズにこたえるためにも、新しいがん治療のプラットフォームを作り出すことを目指します。
  • 研究計画
    蛍光蛋白であるGFPを標的にして、人工的にGFPを分解する蛋白をデザインしました(写真、赤い細胞=人工蛋白を発現している細胞ではGFPの緑色シグナルが消失しています)。この人工蛋白は標的に結合する部位を置換することで、サイズや立体構造による制約を受けるものの、多彩な標的に結合、分解することが可能です。この人工蛋白を用いてがん細胞のアキレス腱となる細胞内蛋白を分解し、制御することを目指します。
    がん細胞の進行に関わる細胞内分子のうち、製剤化が最も困難と言われているのがKRASです。現在は、KRASを対象とした研究を行っています。
研究テーマ2
低リスクMDSを対象としたエクソソーム解析
  • 背景
    骨髄異形成症候群(MDS)は造血不全、白血病への進展を特徴とする造血器悪性腫瘍であり、高齢化社会の影響もあって年々増加傾向にあります。次世代シークエンサーを用いた解析から、スプライシング異常をはじめとした様々な遺伝子変異が同定されているものの、これらは多くが細胞増殖にとって不利となる変異です。では、なぜそういった変異を持つクローンが正常造血を抑制して優勢となるのでしょうか?本研究ではMDS細胞が分泌するエクソソームに注目し、異常細胞が正常細胞に付与するシグナルを検証します。
  • 研究計画
    本研究はMDS患者様の骨髄液中からエクソソームを抽出し、抽出したmiRNA(蛋白質の鋳型であるmRNAを制御する短いRNA)を次世代シーケンサーを用いて網羅的に解析します。対象患者は低リスクMDS患者とし、原則として初発時のみとしていますが、メチル化阻害剤などにより貧血の改善が見られた例では、治療後の評価も行っています。
    さらに、miRNAで有意な変化が認められれば、造血幹細胞に導入することで造血にどのような変化が生じるかを検討する予定としています。
研究テーマ3
ベッドサイドでのポータブルシーケンサーによるゲノム医療
  • 背景
    急性骨髄性白血病は、次世代シーケンサーを中心とした解析により、様々な変異が同定され、腫瘍の進展に寄与する因子が次々と判明しています。しかしながら、実臨床において重要なのは、最初しやすいか?ということです。白血病はいったん寛解(病気が検査で検出できなくなる状態)に入っても、残念ながら再発してしまうことがしばしばあります。そのため、最初リスクが高いと考えられる方には造血幹細胞移植による強力な治療を行うことになります。  しかしながら、移植には治癒率を高めるというメリットがありますが、一方で感染症や免疫反応による重大な合併症が伴うことがしばしばあり、その適応をしっかりと見極めることが必要です。そのため、従来よりも高感度に病変の残存が検出するシステムの構築を目指しています。
  • 研究計画
    MINION(nanopore sequencer)は、スマートフォンよりやや小さいレベルの機械ですが、膨大な遺伝情報を1日で得ることができます。このツールを用いて、急性骨髄性白血病の患者様のゲノムを解析し、変異を有する領域を抽出します。腫瘍の変異を得意的に増幅するPCR反応を利用して、体内に残る白血病細胞を高い感度で同定し、最初リスクの判断につなげることを目指します。


耳鼻咽喉科・頭頚部外科

研究代表者
医学研究所
北野カデット研究員

三輪 徹

  • 研究目標
    基礎研究、臨床研究によるアプローチで難聴・めまい患者さんの診断・治療および発症予防を目指しています
研究テーマ1
遺伝性難聴/前庭障害に対する胎生期治療の開発

  • 背景
    遺伝性難難聴/前庭障害による難聴やめまいに対しては、現在人工内耳や補聴器による対処がなされていますが、機械を使用しない根本的治療法は現存しない状態です。
  • 研究計画
    胎生期内耳に遺伝子を導入する方法を試みています。
    内耳発生の研究を行うことで、どの遺伝子をどの時期に導入することが必要かを現在検討しています。


研究テーマ2
加齢性難聴の発症予防治療の開発

  • 背景
    加齢に伴う難聴に対して、根本的な治療や予防法は現存しません。
  • 研究計画
    これを予防するために、ミトコンドリア機能異常による加齢性難聴モデルマウスを用いて加齢性難聴の機序解明の検討を行っています。


研究テーマ3
平衡機能障害に対する動的体平衡研究

  • 背景
    めまいやふらつきを訴える患者さんの身体のバランスについて、現存する検査では詳細な把握ができません。
  • 研究計画
    めまいやふらつきを数字で解析(定量化)するために、9軸モーションセンサによる動作解析や3次元動作解析 を行っています。将来的には、解析を前庭リハビリに応用する予定です。



研究テーマ4
平衡機能障害と自律神経系の関連についての研究


消化器内科

研究代表者
消化器内科
森田 敏広

  • 研究目標
    膵癌における新規バイオマーカーを発見する 膵癌および周囲組織(microenvironment)が形成されるメカニズム明らかにする
研究テーマ1
早期膵癌における新規バイオマーカーの探求および膵癌・周囲組織(microenvironment)形成のメカニズムの解析
  • 背景
    膵癌は未だに5年生存率が10%以下であり極めて難治性の疾患で、予後の改善には早期発見が不可欠です。膵癌は周囲に強い繊維化・新生血管などを伴うことを特徴としており(microenvironment)、繊維化による膵臓の萎縮を捉えることで早期発見につながる可能性がります。
    miRNAは遺伝子発現を調節するRNAの一種で、膵癌や周囲組織から分泌されることが知られてます。
    膵癌・周囲組織から膵液に分泌されるmiRNAをとらえることで、早期膵癌の新規バイオマーカーになる可能性や、膵癌が形成されるメカニズムを解明できる可能性があります。
  • 研究計画
    膵管狭窄像や膵実質の萎縮・繊維化などにより早期膵癌が疑われた患者に対し、内視鏡検査を行い膵管ドレナージチューブ(ENPDチューブ)を留置しています。この際に膵液を回収させていただき、膵液中のmiRNAを測定し健常者と比較することで新規のバイオマーカーの候補となるmiRNAを探します。
    また、候補となったmiRNAの機能を細胞株や実験動物などを用いて解析することで膵癌・周囲組織の形成におけるメカニズムを明らかにしていきます。


糖尿病内分泌内科

研究代表者
糖尿病内分泌内科部長・内分泌・代謝・腎臓研究部部長
濱崎 暁洋

研究代表者
糖尿病内分泌内科副部長・ 北野カデット研究員
渋江 公尊

研究者
本庶 祥子
綾野 志保
瀬野 陽平
長谷部 雅士
高橋 尚子
酒井 麻里子

研究目標
私たちは、代謝内分泌疾患診療の中で生じた疑問点から出発し、詳細な生理学的検査や分子レベルの解析を通じて、病態解明や個別化医療の推進に貢献する知見を得ることを目指します。

研究テーマ1
重症低血糖における膵α細胞機能及びグルカゴン作用に関する研究
  • 研究内容
    糖尿病の治療において重症低血糖は生命予後に関わる緊急性の高い病態であり、適切な治療と予防は我々の日常診療における最優先事項の一つです。低血糖からの回復には中枢神経を介した交感神経系の賦活化によるカテコラミンの増加や膵α細胞からのグルカゴン分泌などが関わっていることが知られています。糖尿病患者において低血糖からの回復機序がどのように変化しているかについては、1型糖尿病における自律神経障害(低血糖関連自律神経不全(HAAF))などの病態が研究されていますが、詳細なメカニズムについてはまだ解明されていない点が多く残されています。
    私たちは低血糖回復機序を明らかにするため膵α細胞におけるグルカゴンに着目し、糖尿病においてグルカゴン分泌のメカニズム及びその作用がどのように障害されているかを臨床検体とin vitroモデルを組み合わせて明らかにすることを試みています。
    当科ではこれまでに食事グルカゴンを含むさまざまな臨床データにあわせた保存検体を有しており、また種々の負荷試験や詳しい病態生理解析を行う環境を整えています。 私たちはこれらのツールを組み合わせることで様々な背景を持つ糖尿病患者におけるグルカゴンの動態を明らかにすることを試みています。さらには特定の併存疾患・病態(肥満、NASH、ステロイド糖尿病、妊娠糖尿病、副腎疾患など)を持つ糖尿病患者におけるグルカゴンの作用がどのように変化しているかをグルカゴンの主な標的臓器である肝臓の細胞モデルを用いて分子生物学的側面から明らかにしていきます。
    これらの研究を通して多様な疾患背景を持つ糖尿病患者様に対し、個々の病態に合わせた安全な低血糖の予防と治療法を提供することが私たちの研究の最終的な使命であると考えています。

研究テーマ2
代謝内分泌代謝疾患の新規バイオマーカー探索
  • 研究内容
    代謝内分泌疾患の患者様の血液検体や手術検体を用いて、インクレチンなど消化管環境因子の測定や、transcriptome解析などを行っております。糖尿病の個別化医療や、機能性内分泌腫瘍の診断を推進する新規バイオマーカーを探索しています。
     
研究テーマ3
代謝内分泌疾患の遺伝子解析
  • 研究内容
    遺伝性代謝内分泌疾患の遺伝子診断体制の整備を進めています。
  • 対象疾患
    遺伝性カルシウム代謝異常、遺伝性内分泌腫瘍など

臨床工学部

石野 直明

研究代表者
臨床工学部
石野 直明

  • 研究目標
    患者さんの体内で自己組織化し,成長する人工臓器の開発を目指しています.
研究テーマ 
乾燥保存臓器の脱細胞化と再生型人工臓器開発
  • 背景
    近年,様々な人工臓器が開発され,臨床使用されていますが,生体臓器の複雑な構造と機能を完全に有した人工臓器は存在しません.成長過程である小児期に移植された人工臓器は,患者さんの成長に適応できず,繰り返し再手術をして人工臓器を交換しなくてはなりません.患者さんの体内で自己組織化し,成長する人工臓器(再生型人工臓器)は,特に先天性疾患の治療に有用です.
  • 研究計画
    ヒトや動物の組織から,拒絶反応の原因となるドナー由来細胞を除去することを「脱細胞化」といいます.脱細胞化された組織に,患者さん自身の細胞を生着させ,再細胞化させることで,移植後,患者さんの体内で自己組織化し,成長する人工臓器をつくることができます.
    本研究では,乾燥保存した動物の血管や腎臓などを脱細胞化し,培養細胞を用いて再細胞化させたり,ラットへの移植実験を行うことで,再生型人工臓器としての有用性を評価しています.
    乾燥保存することで,貴重な生体臓器を長期保存することができます.トレハロースという天然の糖質を臓器に浸透させてから乾燥させることで,生体由来の微細構造を残したまま,臓器を乾燥保存することができます.


消化器外科

内田 洋一朗

研究代表者
消化器外科客員研究員、北野カデットメンター
京都大学 肝胆膵・移植外科 助教

内田 洋一朗

研究テーマ 
虚血再灌流障害(Ischemia and Reperfusion Injury:IRI)の克服
IRIは血流低下と引き続く血液の再灌流により発症し、人間の全臓器において重要な課題である。
  • 研究目標
    我々のグループでは、肝臓外科領域(肝切除/肝移植など)における肝IRIを 克服すべく、そのメカニズムの解明、治療の開発、臨床への応用を目指しています。
  • 研究体制
    当研究グループ(消化器外科)は、2012年より、京都大学先端・国際医学講座(寺嶋宏明 客員教授/消化器外科主任部長)との連携大学院システムを構築。
    京都大学肝胆膵・移植外科大学院生と共に研究を行っています(平尾浩史(UCLA留学)、門野賢太郎(UCLA留学)、宮内智之(客員研究員) 、川添 准矢(客員研究員)の4人の 医学博士を輩出。嵯峨謙一(大学院生)、田中康介(大学院生)、川本浩史(客員研究員)らを中心に研究中)。

肝IRIに関与する細胞・分子について我々が報告してきたIRI抑制方法

  • これまでの知見と展望
    肝IRI克服(肝臓外科手術成績向上)には、極めてシンプルな短時間食事制限“fasting”が有効であることを発見しました(ケトン体(βヒドロキシ酪酸)が重要:2019 PNAS)。
    食事制限による生体内変化(メタボローム解析)、消化管への作用(糞便細菌叢メタゲノム解析)、概日リズム(時計遺伝子)の解析などを行い、「食事制限による正の効果」の内因性分子機構を解明し、“外科周術期の最適な食事療法”と肝障害を軽減する薬物(分子)シーズの探索と確立を目指しています。

  • ↑研究紹介クリック

    メッセージ
    外科医として熟練した高い外科技術を持ち、患者から信頼され、常に病気の解明と新規治療の開発研究にも情熱を傾ける外科医“Academic Surgeon”を目標とし臨床と研究に取り組んでいます。

    Impact,2019


リウマチ膠原病内科

藤田 昌昭

研究代表者
腫瘍研究部研究員・関西電力病院リウマチ膠原病内科部長
藤田 昌昭

  • 研究目標
    自己免疫疾患の治療はステロイドや免疫抑制薬による白血球の機能の制御が中心となっているが、これらの薬剤は、生体防御に必要な炎症反応や白血球機能までも非特異的に抑制するため、重篤な感染症を引き起こすことがある。我々のグループでは、自己免疫疾患の発症に関与している白血球やサイトカインのみを特異的に抑制することができる薬剤の開発を目指している。
研究テーマ1
インテグリン制御による自己免疫疾患の新たな治療法の開発
  • 研究内容
    接着因子インテグリンの新規リガンドを同定し、新たなインテグリンの機能を解明するとともに、リガンド―インテグリン間相互作用を抑制する分子を作成し、インテグリン制御による自己免疫疾患の新たな治療法の開発を行っている。
研究テーマ2
CRP制御による新規抗炎症剤の開発
  • 研究内容
    CRPは感染症や悪性腫瘍などの炎症を伴う病態で上昇するため、広く臨床応用されている。しかし、近年、CRPそのものが炎症や動脈硬化、悪性腫瘍に関与しているという報告が散見される。本研究では、自己免疫疾患や悪性腫瘍においてCRPが どのような役割を果たしているかを検討し、さらにCRP制御による自己免疫疾患の新たな治療法の開発を行っている。

特徴①:UCDavis との共同研究

特徴②:Molecular simulationを駆使したタンパク質間相互作用予測

特徴③:JMTO及びIBL との連携

Publications:
Biochem J. 2018;475:723-732.
Cytokine Growth Factor Rev. 2017:34:67-72.
Protein reviews. 2017;925:103-115.
J Biol Chem. 2015;290:259-271.
PLoS One. 2014 9:e96372.
PLoS One. 2014 9:e93738. 
J Biol Chem. 2013; 288:19593-603.
J Biol Chem 2013;288:3059-3069.
J Immunol. 2012;189:5809-5819.
J Biol Chem. 2012;287:12491-12500.


特許:
United States Patent:10,591,471
Suppression of SPLA2-integrin binding for treating an inflammatory condition or suppressing cell proliferation