公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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美容診療

美容診療

皮膚が老化することで、シミやくすみなどの色素の変化、たるみやシワなどの形態や弾力の変化が起こります。このような加齢に伴う肌の変化にも医学的根拠をもとにした治療が行われるようになってきました。
当科では、①脱毛(レーザー治療)②美肌(レーザー治療、光治療、メソポレーション、ケミカルピーリング)治療を行っており、社会的制限などを考慮しつつ個人にあった安全性の高い治療を心がけております。

①脱毛

医療脱毛器械ダイオードレーザー VECTUS™ LASER

体毛の仕組み
ダイオードレーザー体毛は、皮膚の上の毛幹と皮下の毛根に区別され、毛を取り囲む組織を毛包と言います。毛球は、毛包の膨らんだ部分で毛母細胞に栄養を与える毛乳頭が存在します。毛は、毛球の毛母細胞が細胞分裂し角化することで作られ、生えてきます。
発毛には周期があり、成長期、退行期、休止期に分類されます。
ダイオードレーザー脱毛とは
ダイオードレーザーは半導体を利用して発生させるレーザーで、黒いメラニン色素に反応する800nmの波長が脱毛に使用されます。
ダイオードレーザー照射により黒い毛根に熱が伝わり毛根の毛母細胞、毛根に接している毛包や毛乳頭や皮脂腺が破壊されることで脱毛効果が得られます。
しかし、上述のように発毛には周期があり、休止期の毛根には黒いメラニンがないので脱毛できません。レーザー照射に反応し脱毛効果が得られるのは成長期の毛のみですので毛周期に合わせた数回の照射が必要になります。
VECTUS™ の特徴
VECTUS™サイノシュア社Vectusは従来の医療レーザー脱毛と比較して、毛の色や太さ、肌の色に関わりなく高い脱毛効果を誇ります。また、FDA(Food and Drug Administration:米国厚生省食品医療局)において、脱毛の効果がある(http://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf12/k120622.pdf)と認可されております。

厚みのある大きいサファイアを採用することにより、下図のように照射面に均一のエネルギーを伝達できます(左が従来のレーザー、右がVectus)。さらに、コンタクトクーリング機能により皮膚表面を冷却しながらレーザーが照射されるため、熱傷のリスクを最低限にし治療時の痛みも低減しています。

従来との比較

また、SkintelTM(メラニンリーダー)が皮膚の色調を診断し最適なエネルギー値を推測することで熱傷などの合併症を防ぎつつ効果的な脱毛が可能となりました。

Skintel 皮膚の色調

②美肌

CO2(炭酸ガス)レーザーアキュパルス

炭酸ガスレーザー炭酸ガスレーザーから出力される10,600nmの長さの波長が水に良く吸収されるため、水分を含んだ組織を加熱し蒸散させることで組織を削ります。このため、病変の色調に左右されず色のついていない盛り上がった病変の治療も可能です。

従来の炭酸ガスレーザーでは周辺組織に対し200micron 以上の熱損傷を生じるため炭化層を形成しての治療となりましたが、ルミナス社の“AcuPulse”では周辺組織への熱損傷が50 micron以下と極めて少ないため術後の炎症反応が少なく色素沈着をきたす危険性が低くなりました。

皮膚断面図
1. スキャン機能付き
コンピューター制御によりきわめて薄く均一な蒸散をすることが可能となりました。
照射時痛くないように、レーザー照射前に患部の冷却もしくは局所麻酔を行います。
2. フラクショナル機能付き
フラクショナル照射時レーザー光を極小の点に分割して皮膚に照射することで、一定の密度で多数の円柱状の微細な穴を皮膚にあけ皮膚を蒸散させる機能です。直径1.3mmのスポットで浅く削り皮膚の表面を点状に蒸散させる機能と、直径0.12mmという非常に小さなスポットで深く削り皮膚の奥深くまで蒸散させる機能(2)があり組み合わせて治療することも可能です。

対象疾患
母斑細胞性母斑(ほくろ)、尋常性疣贅(いぼ)・脂漏性角化症などの隆起性病変
フラクショナル機能使用時:毛穴、小じわ、くすみ、ニキビ跡

CUTERA社XEOシリーズ美容器械

この器械は、FDAにおいて美容医療治療器として認可されております
http://www.accessdata.fda.gov/cdrh_docs/pdf13/K132185.pdf)。
数種類の肌治療のハンドピースを搭載可能なため、ハンドピースを使い分けることでさまざまな肌トラブルに対応できるようにしました。

ハンドピースの種類
  1. 光治療器(ライムライト)
  2. 光治療器(アキュチップ)
  3. 近赤外線治療器(タイタン) 
  4. ロングパルスNd:YAGレーザー
  5. Er:YSGGレーザー(パール)
1. 光治療器(ライムライト)
ライムライト520~1100nmの波長の光を照射することで、従来の光治療器では反応しにくかった病変に対しても効果的な器械です。照射により表皮のターンオーバーを促進しメラニンを排泄させることでくすみ、しみやそばかすを改善させ、また、拡張した血管に作用し毛細血管拡張症を改善させ、線維芽細胞や真皮コラーゲンへの熱作用により肌の質感や毛穴を改善させます。
2. 光治療器(アキュチップ)
メラニンとヘモグロビンの吸収が高い短めの波長(500-635nm)を照射することで色素性病変や毛細血管拡張症に対してライムライトより効果的です。
3. 近赤外線治療器(タイタン) 
水分に吸収される1100~1800nmの波長の光を照射し、真皮内部を加熱することでコラーゲンの収縮、増成を促すことでしわやたるみを改善します。
4. ロングパルスNd:YAGヤグレーザー
メラニンとヘモグロビンの双方に吸収される1064nmの波長を照射します。赤ら顔を軽減し、浮き出た毛細血管を改善します。
また、皮膚から離して空中照射し真皮乳頭層を加熱することでコラーゲンの増生を促し、肌のキメ、ハリを改善させます(ジェネシス)。
5. Er:YSGGレーザー(パール)
角質を蒸散するレーザー治療(スキンリサーフェシング)は以前より欧米で行なわれておりましたが、東洋人に対しては色素沈着をきたすリスクがありました。このリスクを大きく軽減したレーザーがパールです。
クリスタルYSGG(イヨットリウム スカンディウム ガリウム ガーネット)から出力される波長2790nmのレーザーを照射します。表皮に対しては、角質層が蒸散されることで新しい皮膚の再生を促します。真皮層に対しては、コラーゲンの熱変性による収縮、新生、再構築が生じるため肌質が改善されます。

V-beam

レーザーのパルス幅(照射時間)を調節できる新機能を有する波長595nmの色素レーザーです。血液中のヘモグロビンに選択的に吸収されるため、毛細血管が凝集した病変部ではヘモグロビンがレーザーエネルギーを吸収し熱変換することで血管内壁が熱破壊されて血管を閉塞させることで赤い色を消していきます。
ダイナミッククーリングディバイスという機能を搭載しレーザー照射直前に氷風を吹きつけることにより皮膚を保護しながら血管腫への照射が可能となり、熱傷が生じる危険性が改善されました。
また、線維芽細胞を刺激するため小じわにも効果を発揮します。
血管性病変(血管腫や毛細血管拡張症)には保険が適応されます。

V-beam
レーザー効果分類
アキュパルス ライムライト アキュチップ タイタン ヤグレーザー パール V-ビーム
効果のある
部位
角質・表皮層
から
真皮層
角質・表皮層
から
真皮層
角質・表皮層
から
真皮層
真皮層 角質
から
表皮、真皮層
角質・表皮層
から
真皮層
角質・表皮層
から
真皮層
効果 色素、
肌質改善
色素、
肌質改善
色素沈着 引き締め 血流、
肌質改善
肌質改善 色素、
肌質改善
しみ × ×
黒子 × × × ×
いぼ × × × × × ×
くすみ × × × ×
毛穴 ×
たるみ × × ×
小じわ × ×
毛細血管拡張
皮膚の赤み
血管腫
× ×

メソアクティスー皮膚エレクトロポレーション

メソアクティス物質が皮膚に浸透するためには、皮膚の最外層に存在する角質層を通過する必要がありますが、皮膚角質層はバリア機能を有しており、このため、皮膚表面から容易に物質が透過できないようになっています。
この方法では、高電圧の電流を短時間皮膚に作用させ物質を透過させるための一過性の穴を生じさせ(エレクトロポレーション法)、この穴から低電圧の電流を負荷することにより、薬剤の帯電性や分子の大きさに関係なく、痛みを感じることなく薬剤を導入する方法です。
しみ、しわ、肌質の改善、乾燥肌、炎症後色素沈着、肝斑の改善に有効です。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングとは、肌に酸を塗ることにて皮膚の角質を取り除き、ターンオーバーを促進する事で肌の再生を促す治療方法です。
肌のきめ、にきびやしみなどを改善する効果があります。

治療の流れ

予約、受け付け後、まずカウンセリング(初診)を行います。
専門医が治療に関する危険性も含めて詳しく説明し、十分にインフォームド・コンセントを行った上で治療を開始致します。
悪性疾患が疑われる場合には顕微鏡による組織検査が必要ですので、レーザーではなく手術適応となり保険診療になります。