公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院

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【初診外来受付時間】8:45~11:30(※来院前に必ず診療科別受付状況をご確認ください)
【休診日】第2・第4土曜、日曜、祝日、年末年始 【面会時間】13:00~20:00

脳血管障害

脳血管障害

主な脳血管障害について

脳卒中(くも膜下出血、脳内出血、脳梗塞)は脳血管の異常により生じる疾患群であり、早期の診断と治療が必須で当院では夜間・休日を問わず24時間体制で治療にあたっています。

脳卒中センターについて

当院では脳神経外科と神経内科が連携して脳卒中センターを運営しており、6名の脳卒中専門医、3名の脳神経血管内治療専門医が常駐しています。脳卒中ケアユニット(SCU)は、9床と大阪府下でも大きな規模です。また、脳卒中リハビリテーション看護認定看護師、理学療法士、作業療法士、言語治療士、薬剤師らも加わり、患者様の早期の社会復帰に向け各々の専門領域の治療にあたっています。

未破裂脳動脈瘤とくも膜下出血

脳動脈瘤は脳を栄養する太い血管の分かれ目がこぶ状に膨らんだもので、多くは原因不明です。破裂していない状態(未破裂脳動脈瘤)では、ほとんど症状を呈することはありません。しかし一部の大型の未破裂脳動脈瘤では、周囲の神経組織の圧迫により症状(ものが二重に見える、視力が低下するなど)を呈することもあります。未破裂脳動脈瘤は脳ドックなど画像検査で偶然指摘されることも多く、近年増加しています。動脈瘤を治療するか否かは、患者様の年齢や瘤の大きさや場所などから破裂のリスクを充分考慮し充分相談した上で決定します。

未破裂脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血を引き起こします。一旦くも膜下出血を起こすと死亡や重度の後遺症を残すことも多く、当院では24時間体制で治療を行っています。

動脈瘤の治療には大きく分けて、開頭手術と血管内手術の2通りの治療法があります。開頭手術は、直接に頭蓋骨に穴を開けて動脈瘤を露出してクリップをかける方法です。血管内手術は、脚の付け根の血管から細いプラスチックの管(カテーテル)を頭まで誘導し、血管の中から瘤内に塞栓物質(コイル)を充填させ血流を絶つ方法です(詳細は下の治療のQ&Aを参照して下さい)。

脳梗塞

脳梗塞は血管が詰まることにより、その先にある脳組織が死滅し機能を失う疾患です。症状は様々ですが、突然片方の手足の力が入らない、言葉が出ない、舌がもつれる、言葉が理解できない、目が見えにくい等が代表的なものです。脳が完全に死滅する前に治療を行えば救える可能性があるので、治療は可能な限り早く始めることが重要です。

発症後4.5時間以内であればt-PA治療(強力な血栓溶解薬)を行います。更に、カテーテルを用いて血栓の塊を除去する血管内手術を行うこともあります。当院では24時間体制でt-PA治療および血管内手術を行うことが可能です。

脳の血管が詰まる原因には、血管そのものが動脈硬化で細くなる(脳血栓症)ことと、心房細動などの不整脈が原因で心臓内に出来た血栓がはがれて脳に飛んでくること(脳塞栓症)の2つがあります。動脈硬化を予防するためには、高血圧、糖尿病、肥満、脂質異常症などの生活習慣病を正しく治療することと禁煙が重要です。



前大脳動脈と中大脳動脈の本幹が閉塞していたが(図左)、t-PA治療および血管内治療により再開通が得られた(図右)。速やかに症状は改善し最終的には症状はほぼ消失した。



ステント型血栓回収用具で回収された血栓

脳内出血

かつては脳溢血と呼ばれ、脳の細い血管が破れ脳の中に出血する病気です。出血した部位の脳組織が壊れ、血の塊が周りの脳組織を圧迫することにより神経機能が障害される疾患です。

高血圧が原因のことが多く、脳動静脈奇形や硬膜動静脈瘻が原因のこともあります。

出血の大きさや部位、症状に応じて緊急手術を検討します。手術は開頭手術や神経内視鏡を用いた手術も行っています。

脳動静脈奇形

先天性の脳血管の奇形であり、動脈と静脈の間に異常な血管網ができる疾患です。症状を呈することは多くありませんが、脳内出血や痙攣発作を来すことがあります。また、脳ドックなどにより偶然発見される場合もあります。

脳内出血を起こした場合には治療が必要となりますが、症例に応じて開頭手術、血管内手術、放射線治療を単独または組み合わせた治療を行っています。

未破裂脳動脈瘤の治療のQ&A

1)未破裂脳動脈瘤とはどんな病気ですか?
脳動脈瘤とは、血管が枝分かれをする部分の壁の一部が薄くなって瘤(こぶ)状に膨らんだものです。この脳動脈瘤が破裂するとくも膜下出血を起こしますが、破裂をする前の段階(未破裂)で発見されたものが未破裂脳動脈瘤です。最近では画像検査が進歩しており、脳ドックなどで発見されることが増えています。未破裂脳動脈瘤は症状のないことがほとんどですが、大きな場合は周囲の脳神経を圧迫し、神経症状(ものが二重に見える、視力の低下など)を起こすことがあります。

2)どうしたら診断できますか?
未破裂脳動脈瘤はMRI(MRA)で診断できるようになってきました。大きさが2-3mm以上であれば発見可能ですが、診断がつきにくい場合もあります。確定診断が難しい場合や治療を検討する場合には、CT血管撮影や脳血管撮影検査を行います。

3)未破裂脳動脈瘤があると言われましたが、どうなるのですか?
脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血を起こすと、社会復帰可能、寝たきりまたは死亡、その中間がそれぞれ1/3程度ずつを占めるとされていて、現在でも治療の難しい病気です。一方、見つかればすぐに破裂するのか、どのような動脈瘤が破裂し易いのかという問題があります。脳動脈瘤破裂の危険性は場所やその大きさにより様々ですが、日本人では1間あたり約1%と推定されています。脳動脈瘤が破裂しやすい条件としては、大きさが5-7mm以上(特に10mm以上は破裂する危険性が高い)、形が不整形(いびつな形状)であるもの、経過で増大がみられるものなどがあげられています。また、血縁者に同じ病気の方がいる場合はより破裂し易くなります。現時点では破裂時期を正確に予測する方法はありませんので、破裂の危険性と治療のリスクを十分に検討した上で治療方針を決める必要があります。

4)どのような治療ができますか?
治療方針は
(1)経過を観察する
(2)開頭手術または血管内手術を行う
の二つに分けられます。

(1)の場合は半年から1年毎に画像検査を行い、脳動脈瘤の大きさや形状の変化の有無を検査します。
(2)の場合は、開頭手術で動脈瘤にクリップをかける方法と、カテーテルと塞栓物質(コイル)を用いて動脈瘤内部から詰めてしまう二つの方法があります。開頭手術は確実性が高く、多くの例でクリップをかけることが可能です。血管内手術はを行うことなくカテーテルを瘤まで導き、脳動脈瘤内にコイルを充填させ脳動脈瘤への血流を絶ち出血を予防するものです。脳動脈瘤の形状や場所を正確に判断するために、CT血管撮影や脳血管撮影などの精密検査を行った上で総合的に判断し、最も適した方法を選択することが重要です。

5)まとめ
診断法の進歩により、未破裂脳動脈瘤が見つかる機会が増えています。破裂を起こしくも膜下出血となる危険性もそれほど高くないことが分かってきました。しかし、くも膜下出血を起こして緊急手術が必要となる例もあり、高度障害を残したり致命的となる例もあります。現時点で一番問題なのは動脈瘤がいつ破裂するのかを予測する確実な手段が無いということです。

適切な治療法については担当医と詳しくご相談ください。また、セカンドオピニオン制度もありますのでご利用ください。


図:血管内手術の1例
破裂脳動脈瘤に対して血管内手術を行い、動脈瘤内にコイルを充填した。術後動脈瘤内への血流は消失した。


図:開頭手術の1例
動脈瘤の壁は一部で薄くなっている。動脈瘤を露出し周囲の血管を残してクリップによって動脈瘤内に入る血流を遮断した。