公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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縦隔腫瘍

縦隔腫瘍

縦隔とは左右の肺の間に位置する部分のことをさしており、大血管、気管、食道、胸腺などがあります。これら縦隔内臓器に発生した腫瘍を縦隔腫瘍とよび、胸腺腫を含めた胸腺関連腫瘍や、神経原性腫瘍、先天性嚢胞などがあります。多くは無症状の良性腫瘍で、検診や他の病気での経過観察や治療中にCT検査などで偶然発見されることが多いです。その一方、胸腺がんや悪性リンパ腫などの悪性腫瘍もあります。その中で、胸腺腫はもっとも多く、その病状は進行がとてもおそいものから速いものまで様々であり、潜在的に悪性腫瘍と考えられています。また、胸腺腫では重症筋無力症などの自己免疫疾患の合併もよくみられます。

当院の治療方針

CT検査やMRI検査などで細胞のかたまりがあると考えられる腫瘍(充実性腫瘍といいます)であれば、良性腫瘍であっても、縦隔腫瘍はその場所から外科的切除が望ましいです。一方、細胞のかたまりがみられない先天性嚢胞と考えられる腫瘍は、大きくならないか、または細胞のかたまりがあらわれないかを経過観察しています。手術は腫瘍の性状と部位を考慮し、胸腔鏡手術または開胸手術を行っています。特に当科では、早期の胸腺腫を含めた胸腺関連腫瘍に対して、胸壁つりあげ併用による胸腔鏡下胸腺腫瘍摘出術を行い、よい治療成績がえられています。進行していると判断した悪性の縦隔腫瘍でも、治療効果があると見込めば、開胸手術で、他臓器の合併切除も含めて行っています。 重症筋無力症に対しては、神経内科との緻密な連携のもと、重症筋無力症の術前コントロールを準備し、拡大胸腺摘除術を行っています。

年間症例数