公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

ヘパリン運動ベッド療法は第29回心筋梗塞研究会特別セッション で最優秀賞を受賞しました

ヘパリン加速ベッド療法

狭心症は、冠動脈硬化に伴い冠動脈内腔が狭くなって、十分な血液を心臓の筋肉に供給できないことにより、加速、労作時に胸痛を生じる病態です。狭心症の現在の治療法としては、心臓の働きを抑える薬物療法、狭くなった冠動脈を拡張させる風船療法、大動脈と冠動脈をつなぐバイパス術の3つの方法があります。しかしながら、これらの治療にはそれぞれ限界があり、狭心症に今なお苦しめられている患者さんを対象にしたのが「ヘパリン加速ベッド療法」です。この療法は、血液の供給が足りない心筋へ別の冠動脈から自然のバイパス“側副血行路”を発達させて狭心症を軽減・治癒させるもので、具体的には、ヘパリンを静脈注射して可動ベッドに横になるだけの、患者さんに負担のかからない治療法です。当北野病院では、倫理委員会の承認のもと、平成19年1月より患者さんに行なっていて有効性も既に示されております。

(Miyamoto S, et al : Effect on treadmill exercise capacity, myocardial ischemia, and left ventricular function as a result of repeated whole-body periodic acceleration with heparin pretreatment in patients with angina pectoris and mild left ventricular dysfunction. Am J Cardiol 107:168-74, 2011. )
狭心症での有効性も示されたことから、患者さんの対象を重症心不全やさらには閉塞性動脈硬化症、肺高血圧症にも広げ治療を行っております。ご興味のある方の御来院をお待ち申し上げております。

詳しくはこちらまでお問い合わせ下さい。

推薦のことば

北野病院がその臨床開発に大きな役割を果たした血管内皮の一酸化窒素増加をその主な機序とした加速ベッドは、血管内皮機能改善、動脈硬化進展予防、冠動脈血流予備能改善等をもたらすことが数多くの研究で実証されている。今回、北野病院で実施される“心不全に対する加速ベッド療法”は、世界的に注目されている画期的な治療法であり、心不全で苦しむ多くの患者さんの福音となると思われる。

平成24年5月

京都大学 名誉教授
宇治病院 名誉院長
藤 田 正 俊

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