動脈硬化による変化というと、狭窄性変化ばかりがクローズアップされますが、動脈壁が脆弱になり瘤化する変化もあります。動脈硬化性大動脈疾患の多くを占める大動脈瘤の治療は長い間、外科的な人工血管置換術が唯一の根治的治療でした。
しかし、高齢の患者様が増加し、外科的治療の適応になりにくい方やまた個々人のニーズとして「もっと低侵襲な治療を」という要望が高まってきているのも事実です。近年、大動脈に対する低侵襲治療としてステントグラフト内挿術の出現により臨床現場で大きな変革が訪れています。これは、金属ステントに人工血管素材で被覆した血管内挿型人工血管を用いた経カテーテル的血管内手術です。原理としては、カテーテルシースによってステントグラフトを動脈内に誘導し拡張固定させ瘤内血流を遮断して血栓閉塞を誘発し、瘤内の減圧と血行再建を同時に成し遂げようとするものです。この方法は、従来の手術に比べて出血量の減少、開腹に伴う合併症を予防できる点から低侵襲な治療法であり、リスクの高い患者様や外傷性大動脈損傷患者様にとって特に有益です。日本では2002年度よりステントグラフト内挿術として、保険適用での治療が容認され、使用するステントグラフトについては、2006年腹部大動脈瘤の治療用としてZenith AAA endovascular graft (Cook社製)が承認されました。
2009年3月より、北野病院でも腹部大動脈瘤に対してのステントグラフト内挿術を開始しました。
関心のある方は、毎週木曜日午後 大動脈・末梢血管疾患外来(2診)を受診してください。 (※受付は11:30まで)
図1:両側大腿動脈露出風景
図2:カテーテルインターベンション風景
図3:ステントグラフト準備風景
図4:大動脈ステントグラフト(Zenith)の概観