公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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 北野病院で最高齢となる92歳の男性患者さんが重症の心臓弁膜症に対して、2013年3月27日に弁の取換手術(弁置換術)をお受けになりました。手術後の合併症もなく、リハビリにも積極的に取り組んで頂き、4月20日に無事、元気に退院されました。

 この患者さんは元々お元気な方ですが、90歳を超えるご高齢であり、私達心臓センタースタッフ一同も手術を行うべきか、極めて慎重に議論を重ねました。

 2012年2月に心不全で緊急入院され、内科治療で一旦改善しておりますが、重度の弁膜症 (重症度の指標である左室と大動脈の圧の差が150mmhg。正常は差がありません)に対して治療の必要がありました。この時点で、通常の胸を大きく開け人工心臓を用いる心臓手術よりも、身体に優しいといわれているカテーテルを用いた弁置換術(TAVIあるいはTAVRと呼ばれています)を考えました。日本でまだ4施設のみしか行うことが許されていない状況ですが、その一施設へ治療の依頼を行いました。検討して頂いた結果、カテーテル手術に不適な心臓の形態であることがわかり断念せざるを得ませんでした。

 その後、当院心臓センター外来で利尿薬をはじめとした内服治療を行っていましたが、心不全のコントロールが難しく、ご本人・ご家族と胸を開ける心臓手術について再度お話を行いました。矍鑠(かくしゃく)としておられる患者さんは、毅然と「少し怖いけれど頑張って手術を受けます」と答えられ、我々医療者もこの力強い言葉に勇気を頂き、全力で治療にあたりました。

 患者さんの前向きな姿勢が、この嬉しい結果に繋がったのだと思います。

 治療に関わった心臓センタースタッフ一同、感激しております。

 

北野病院 心臓センター 心臓血管外科部長
植山 浩二

 


 

(※) この度の記事および写真は、同じような病気で苦しんでおられる沢山の方々に少しでも勇気を与えることが出来ればと、この患者さんに快諾を得て掲載の運びとなりました。

 

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