公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

パーキンソン病

概要

パーキンソン病は脳内のドパミンを作る細胞が減ってしまう原因不明・進行性の病気です。手足のふるえや動作の鈍さで始まり、次第に歩きづらさや全身の動作の鈍さが進んで動きづらくなってしまいます。進行を抑える手段はありませんが、ドパミンの働きを補う薬剤治療により症状を抑えてなるべく不自由のない生活を目指すことが出来ます。

 

実績

北野病院では大変多くのパーキンソン病患者さんが診療をうけておられます。表はDPC対象病院においてパーキンソン病の診断名で入院した患者数の順位を示します(病院情報局調べ)。北野病院の入院診療数は全国4位以内、関西では最多となっています。


2008

2009

2010

2011

2012

2013

2014

2015

全国順位

1位

1位

1位

3位

4位

4位

3位

4位

関西順位

1位

1位

1位

1位

1位

1位

1位

1位

 

取り組み

北野病院でのパーキンソン病診療の特徴は正しい診断、適切な治療にあります。ふるえや動作の鈍さの原因はパーキンソン病だけではありません。一方、パーキンソン病患者さんの症状は個人による違いが大きいことが知られています。また、パーキンソン病は難病として知られているため診断された患者さんは不安でいっぱいです。「ほんとうにパーキンソン病なの?」「薬を飲んでもよくならないんだけど?」といった疑問を多くの患者さんが抱えて受診されます。この問題を解決するために、北野病院でのパーキンソン病診断は入院で行います。この際に薬の導入や調整も行われます。国際的な診断基準に基づいた検査計画に従って診断を進め、結果に応じて患者さんの病状とライフスタイルに合わせた治療を考えます。検査・診断と治療薬の導入・調整でおおむね2週間程度を要します。

パーキンソン病になって数年経つとどうしても薬の効きが短くなって動きの悪い時間が長くなったりジスキネジアと呼ばれる不随意運動が生じて生活が不自由になります。パーキンソン病の薬には多くの種類があり、一長一短があるためこれらを適切に組み合わせて「薬のチーム」として治療していくことが必要になります。この治療薬の調整も2~3週間の入院で行われます。

北野病院に入院での診断や治療調整の後は原則としてお近くの医療機関での治療継続になります。その後の病状の変化に対する再検査や再度の薬剤調整についても再入院で対応しています。パーキンソン病や類似の病気について北野病院に受診される際には情報提供書(紹介状)をお持ちになり、予約の上で受診下さい。十分な問診、説明のためにご協力をお願いします。

 

脳深部刺激療法(DBS

北野病院では脳深部刺激療法(DBS)と呼ばれるパーキンソン病の外科治療にも取り組んでおり、関西ではもっとも初期から取り組んでいる病院になります。DBSでは心臓ペースメーカーに似た機器を植え込んで脳内に持続的な電気刺激を行います。DBSを導入することによって薬の効果を一定程度肩代わりすることが出来ます。DBSと薬を併用することによって薬の切れ目を軽くしてなるべく長い時間調子のよい状態を保つことが目標になります。導入に当たっては脳内に電極を植え込む必要があることから、手術はもちろんのこと、認知機能や精神状態の面からも安全性が保てることが重要になります。DBSは外科治療として知られていますが、パーキンソン病は内科疾患であることから北野病院では脳神経内科が主体となって脳神経外科および精神科と密接に連携し、3科合同チームとして診療しています。これによって効果が確実に期待でき、十分安全である場合にDBSの導入を提案するように努めています。DBSを目的とした受診の場合には現在治療を受けている病院・クリニックを通じて専用の外来の予約をしていただく必要があります。