NICUのオンライン面会について
NICU(新生児集中治療室)では、未熟な状態で生まれた赤ちゃんや、生後まもなく手術が必要になる赤ちゃん、感染症などに対して治療が必要な赤ちゃんをお預かりして、24時間体制で管理をしています。人工呼吸管理や一酸化窒素吸入療法、低体温療法など高度な医療も可能です。1日も早く赤ちゃんが元気に退院できるように、スタッフ一同努力しています。
赤ちゃんを抱っこしたり、ミルクを与えたり、話しかけたり、赤ちゃんからの反応を感じたり・・・本来ご出産の後にはたくさんの触れ合いの機会があります。赤ちゃんをNICUにお預かりするということは、ご家族からその機会を奪ってしまっているのと同じことです。だから私たちは、ご両親がNICUに面会にいらした際には、赤ちゃんの状態が許す限り、できるだけ触れ合いの機会をもっていただけるよう心がけています。
ところが新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、面会制限が開始になりました。すべての赤ちゃんを感染症から守るために必要な対応ですが、ご両親さえもNICUで赤ちゃんと面会できないという状況は、とてもつらいものでした。スタッフでアイデアを出し合い、赤ちゃんの写真や動画にメッセージを添えてお届けすることを始めました。そして以前から温めていた、オンライン面会の計画を実現することができました。
オンライン面会の様子(ご自宅ではお爺ちゃん、お婆ちゃん、皆さん勢揃いでした)
オンライン面会には、NICU内の精密機器に影響を及ぼさず、個人情報が漏れることのないシステムを採用しており、安心して使用していただくことができます。まだ退院の予定のない赤ちゃんの様子を、一足先にご家族にご覧いただくことができます。お貸しする端末には赤ちゃんが映り、お爺ちゃんお婆ちゃん、お兄ちゃんお姉ちゃん、皆さんにご覧いただけます。タイミングが良ければ声を聞けるかもしれません。北野病院にある端末には皆さんが映っていますので、手を振ったり声をかけたりしてあげてください。「会えるのはまだまだ先のことだと思っていたので嬉しい」「動画よりも身近に感じることができました」と好評をいただいています。もちろん直接赤ちゃんに会っていただくことが一番です。早くそれが可能になる日常が戻ることを願っています。
また一部の産婦人科開業医さまには同じ専用端末をお貸ししています。赤ちゃんが北野病院に搬送された場合、出産後間もないお母さんはまだ外出できないことが多いでしょう。オンライン面会システムを使えば、担当医から直接赤ちゃんの検査結果や治療方針について説明を聞き、搬送後の赤ちゃんの様子をご覧いただくことができます。突然赤ちゃんのNICU入院が決まって、不安でいっぱいのご家族を支援するために、このシステムは今後も継続・拡大していく予定です。
小児科 未熟児・新生児部門 部長 水本 洋
メディアによる取材
当院のコロナ禍におけるNICUの取組みについてNHKに取材いただきました。ニュースほっと関西にて放送いただきましたが、NHKワールドでも世界に向けて配信されています。英語にはなりますが、ぜひご覧ください。
A hospital in Osaka helps parents deal with pandemic-related separation from their newborns. pic.twitter.com/XwH9r6haYO
— NHK WORLD News (@NHKWORLD_News) October 5, 2020