当院は日本小児神経学会の小児神経専門医研修認定施設となっています。 小児神経専門医指導医、てんかん専門医が1名、また小児神経を専攻する医師たちで診療にあたっております。 小児神経が関係する疾患には、けいれん性疾患、発達症、頭痛、心身症、不登校など頻度の高いものから、周産期障害に伴う脳性麻痺、先天奇形症候群、先天性代謝異常症、神経筋疾患、免疫が関与する神経疾患、など頻度は高くないものまで、多岐にわたります。こうした疾患を念頭におきながら、神経専門外来では、幅広く診療を行っております。
けいれん性疾患には、熱性けいれん、てんかん、急性脳炎脳症、などがあります。
発熱に伴うけいれんの多くは熱性けいれんとされ、頻度は10%ほどとされています。0歳台からはじまり6歳くらいまでには落ち着いてきます。熱性けいれんの程度や頻度に応じて対応を考えます。
発熱などの誘因がなく発作性にけいれんを起こす状態を繰り返す場合、てんかんの可能性を考えます。頻度は先の熱性けいれんの10分の1程度となります(0.8%ほどです)。てんかんの診断は曖昧なものであり、発作間歇期脳波記録、頭部MRI画像検査を行い、情報を集めることから始まります。入院では発作時脳波記録も試みることもあります。てんかんと診断されれば、多くの場合は抗てんかん薬の内服にて発作制御されますが、発作制御が難しい場合もあり、ケトン食療法なども対応しています。てんかん外科については、適切な病院に紹介し、連携しながら診療にあたります。
インフルエンザや突発性発疹などをはじめとする感染により、けいれんをきたし、その経過の中で脳障害が進行する場合があります。予後はさまざまです。急性期をのりきったあとは、リハビリなどに取り組みながら、回復過程をみて参ります。
発達症には、知的障害、自閉症スペクトラム症、注意欠陥多動症、コミュニケーション障害、発達性協調運動障害、学習障害、などがあります。新版K式発達検査やWISC検査にて認知面の評価を行い、現状を確認しながら、今後の対応を考えていきます。保育園、幼稚園、学校の先生に児の特性を理解してもらい、役所や児童発達支援事業所などとの連携により、児の育つ環境を整えていきます。注意欠陥多動症に関しては環境調整が第一ですが、必要時は中枢性刺激薬などの内服治療も行います。
頭痛に関しては、国際頭痛分類がされており、それに従い診断を行い、適切な治療に努めています。心理的な側面もはらんでいるものもあり難しいこともありますが、あきらめずに診療するよう務めております。
心身症に関しては、カウンセリングもあり、漢方的な治療も含め、あきらめずに診療するよう務めております。
不登校に関しては、その基盤を多面的にとらえながら、現状の環境を調整することや、本人の現状に対する認識を整理することなどを行います。将来的には社会に参加できることが望ましいようには思いますが、時間はたっぷりあるわけで、結論を急がずにあせらずに時間をかけて関わるよう務めております。
周産期障害に伴う脳障害(脳性麻痺など)に関しては、リハビリ病院と連携しながら、児に必要な医療を考え、家族全体の生活の質を考え、診療しております。
先天性奇形症候群、先天性代謝異常症に関しては、個々の疾患の頻度は極めてまれであり、分からないことが多いものの、極力診断に努めております。
神経筋疾患に関しては、筋ジストロフィー症はじめとする疾患ですが、専門病院と連携しながら、体調を崩したときの医療機関としての役割をはたせればと考えております。
免疫が関与する神経疾患に関しては、神経免疫という分野があるほどであり、知見は年々増えていっており、当院でも早期の診断に努め、必要な治療を進めていくよう務めております。