心不全
心不全に対するチーム医療について紹介します。
最近心不全患者が増加しておりますが、その中心となっているのは高齢心不全患者です。
高齢心不全患者の問題点としましては、長い在院日数と高い再入院率があげられますので、これらの問題点に対して院内、地域のさまざまな職種と連携して、在院日数短縮の試みと再入院防止の試みを行っています。
① 在院日数短縮の試み
心不全で入院しますとまず酸素投与や点滴治療を行いますので、どうしてもベット上での長期安静を余儀なくされます。長期安静による嚥下、認知、下肢筋力機能低下により、心不全が改善してもリハビリが進まず入院が長期化します。
そこで当院では、酸素投与や点滴治療中からベットサイドでリハビリを開始して、各機能低下が速やかに改善するように行っています。また、退院後の介護支援の準備(介護認定の申請や区分変更)は時間がかかりますので、毎週1回の多職種でカンファレンスを行い、退院支援が必要な患者をピックアップして、入院早期から心不全の治療と並行して退院支援を行っています。
これらの試みにより平均在院日数が37.2日から19.2日まで短縮しています。② 再入院防止の試み
心機能は入院を契機に悪化しますので、予後や生活の質を維持する為には、再入院を防ぐことが必要です。
再入院を防ぐ為には、まず自己管理(水分、塩分制限や内服遵守)の遵守が必要です。
また、心不全が悪化した場合、出来るだけ早期に外来受診して内服調整を行えば再入院を防ぐ事ができます。
ただ心不全悪化早期の外来受診のタイミングの見極めは、患者や家族はもちろん訪問看護師でも困難でありますので、当院では独自に開発した点数化した自己管理用紙を使用して、心不全悪化早期の外来受診が出来るだけ容易に出来るようにしております。
このような再入院を防ぐ為の自己管理の遵守や心不全悪化早期の外来受診が出来るように、入院中に患者、家族に対して心不全教室を行い、週3回多職種で教育を行っています。
しかし、患者の高齢化や高齢世帯の増加(高齢独居や高齢配偶者との同居)により、自己管理遵守や自己管理用紙の記載が困難となっています。
そこで当院では、多職種のカンファレンスで自己管理が困難な患者を同定して、訪問看護師やヘルパーに介入を依頼して自己管理遵守や心不全悪化早期に外来受診行動がとれる環境整備を行っています。