脳神経外科の手術には「手術顕微鏡」が必要です。1960年代以来、脳神経外科手術では「レンズをのぞき込む手術顕微鏡」を半世紀以上使用してきました。
2010年代になり、「外視鏡」という新たな手術顕微鏡システムが開発されました。外視鏡手術では、レンズをのぞき込むのではなく、内視鏡と同じようにビデオカメラで拡大された画像を大画面3Dモニターで確認しながら手術を行います。外視鏡を経験した術者の多くは、画像の解像度や明るさ、執刀医の負担、術者教育など、様々な面で「従来の手術顕微鏡より優れている」と感じますが、客観的なデータがないため、システム使用の感想にとどまっていました。
当院では国内でも早い段階から外視鏡を導入しており、当院で頻繁に行う微小血管減圧術という手術で、外視鏡と従来の手術顕微鏡の特長を比較検討しました。
その結果、画像の解像度・明るさ・色調・視野、執刀医の負担、術者教育において、「外視鏡は従来の手術顕微鏡よりも優れている」という結果を得ました。特に手術顕微鏡の使用経験が豊富な術者でも、「外視鏡は操作性や執刀医の負担軽減に優れている」と実感することを確認しました。
外視鏡の性能が優れており、術者の操作性や疲労軽減につながることは手術の安全性向上にも寄与するので、当院では外視鏡をさらにもう一台導入し、脳神経外科の予定手術はすべて外視鏡で行っています。
脳神経外科では今後も最先端の医療技術の導入だけでなく、その有用性を評価し、患者さんが受けられる治療の安全性向上に努めてまいります。
外視鏡を用いた手術の様子
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