医学研究所

研究所所長
武藤 誠
大正14年に創立されました田附興風会医学研究所は、これまで臨床研究と基礎研究を両輪として医学の発展に寄与してきました。2025(令和7)年11月には、100周年記念式典と祝賀会を執り行いました。
私は2018(平成30)年秋に研究所長を拝命しましてから、これらの事業を継続するとともに、研究運営体制の強化を図ってきました。当研究所の強みは、なんと言っても研究所の附属病院として大阪でもトップクラスの陣容を誇る北野病院を有していることです。北野病院の各診療科や各部署とも密接な関係を持ち、非常に豊富な臨床症例に基づく臨床研究が数多く行われております。基礎研究に関しても、新館研究所を中心に遺伝子研究や動物実験などが日夜行われております。
これらをさらに発展させるために、2021(令和3)年に新館が完成し、西館にあった研究所施設(ウエットラボ)を新館7階に移設し、研究所企画室と研究者のためのデスクや会議スペースを同一フロアに集約しました。研究に不可欠な機器の整備と検体保存や臨床データベースの拡充もさらに進んでおります。
同時に、1年以上を掛けて関係者間で議論をし、それまで12部門あった研究部を8研究部に再編し、研究内容を反映した新しい部門名を冠し、各研究部長と研究主幹を置きました。同時に研究所運営の実務を円滑に進める為に複数の運営会議を設けています。
この間、北野病院では鼓膜再生治療の研究に基づく臨床試験と保険適用化、無歯症治療のための臨床試験開始など、『発』北野病院の独創的研究が進展しつつあります。
また、2019(平成31-令和元)年度より始まった新しい制度に『北野カデット』があります。これは、研究意欲旺盛な若手医師を毎年若干名採用し、臨床経験を積む場と、研究を継続できる環境を提供し、次世代の医学を担う優れた医学研究者の育成をめざす3年間任期のプログラムで、京都大学医学研究科との連携・協力のもと実施され、研究所の北野カデットセンターが研究費や指導体制を支援しています。本年度は第5-7期の6名が参加しており、これまでに修了(卒業)された14名はその後も当北野病院で診療と研究に従事したり、京都大学医学研究科・京大病院や関連病院、また他の大学や病院で活躍したりしています。
また、従来から遂行しているように、京都大学医学研究科の連携大学院として連携教官3名を擁し、大学院生を受け入れるプログラムも継続しており、今後さらに充実していく予定です。
2025(令和7)年12月
研究所所長
武藤 誠