公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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広報/プレスリリース

[研究報告]70歳以上の三叉神経痛患者における微小血管減圧術のQOLへの影響

医学研究所北野病院では、三叉神経痛の方に微小血管減圧術という手術の選択肢を提示しております。三叉神経痛になりやすい年齢は50歳代以降で、加齢とともに三叉神経痛の発症率は上昇します。また三叉神経痛はしばしば慢性化し徐々に悪化するため、70歳代以上の方が手術を検討することも少なくありません。

手術は全身麻酔で行われるため、全身状態への負担も懸念されます。このような負担により、手術することでかえって生活の質が低下することが懸念されます。そこで当研究所では、三叉神経痛で微小血管減圧術を受けられる方に治療前と手術後に生活の質に関する調査を行いました。

この調査の結果は、60歳未満、60–69歳、70–79歳、80歳以上のいずれの年齢群でも、三叉神経痛の方は生活の質が標準より低いことを示しました。手術後にはいずれの年齢群でも生活の質は手術の前よりも改善していました。ただし身体能力に関係する生活の質の改善の度合いは、70歳未満の方の方が70歳以上の方よりも高く、年齢による影響と考えられました。

今回の調査からは、年齢を問わず三叉神経痛は生活の質を低下させる疾患であり、手術後の経過が良好であれば、やはり年齢を問わず生活の質が改善することを示しました。したがって、手術や手術後の安全性を保てるよう十分な準備や環境整備が行われれば、70歳以上の三叉神経痛の方にも微小血管減圧術が有用です。

本研究の結果はSurgical Neurology International誌にて報告されました。

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