公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

【初診外来受付時間】8:45~11:30(※紹介状や予約が必要な診療科をご確認ください)
【休診日】土曜・日曜・祝日・年末年始 【面会時間】14:00〜17:00(面会条件あり)

広報/プレスリリース

[研究報告]70歳以上の三叉神経痛患者における微小血管減圧術のQOLへの影響

医学研究所北野病院では、三叉神経痛の方に微小血管減圧術という手術の選択肢を提示しております。三叉神経痛になりやすい年齢は50歳代以降で、加齢とともに三叉神経痛の発症率は上昇します。また三叉神経痛はしばしば慢性化し徐々に悪化するため、70歳代以上の方が手術を検討することも少なくありません。

手術は全身麻酔で行われるため、全身状態への負担も懸念されます。このような負担により、手術することでかえって生活の質が低下することが懸念されます。そこで当研究所では、三叉神経痛で微小血管減圧術を受けられる方に治療前と手術後に生活の質に関する調査を行いました。

この調査の結果は、60歳未満、60–69歳、70–79歳、80歳以上のいずれの年齢群でも、三叉神経痛の方は生活の質が標準より低いことを示しました。手術後にはいずれの年齢群でも生活の質は手術の前よりも改善していました。ただし身体能力に関係する生活の質の改善の度合いは、70歳未満の方の方が70歳以上の方よりも高く、年齢による影響と考えられました。

今回の調査からは、年齢を問わず三叉神経痛は生活の質を低下させる疾患であり、手術後の経過が良好であれば、やはり年齢を問わず生活の質が改善することを示しました。したがって、手術や手術後の安全性を保てるよう十分な準備や環境整備が行われれば、70歳以上の三叉神経痛の方にも微小血管減圧術が有用です。

本研究の結果はSurgical Neurology International誌にて報告されました。

お問い合わせ

本件に関する報道関係者からのお問い合わせはこちらのメールフォームよりお願いいたします。一般の方からのご質問等にはお答えしておりませんのでご了承ください。

関連記事

[研究報告]本邦の妊産婦GBSスクリーニング検査における選択的増菌培地の有用性に関する全国多施設共同研究

新生児に重症GBS感染症を引き起こすことが知られている「Streptococcus agalactiae (B群連鎖球菌:Group B Streptococcus:GBS)」を検出するためのGBSスクリーニング検査につ […]

[研究報告]脳神経外科による首の手術後に腰痛が改善するケースについて確認

医学研究所北野病院 脳神経外科では、首の手術後に腰の痛みが低減する場合と低減しない場合の違いを確認し、論文として報告しました。 これまで当院での診療において、首の手術後に患者さんから「腰の痛みがなくなった」と言われること […]

[研究報告]脳神経外科手術における頭蓋骨への正しい止血剤の使用法を確認

医学研究所北野病院 脳神経外科は、2023年11月、頭蓋骨への正しい止血剤の使用法について論文として報告し、全世界の脳神経外科医に注意喚起を行いました。 手術では出血を止めるために様々な方法があります。特に骨からの出血に […]

高血圧に関する医療セミナー(講義)を無料開催

先駆的な活躍をした女性に贈られる賞を当院医師が受賞

2023年10月21日、当院医学研究所の元副所長で非常勤医師である武曾(むそう)惠理(えり)医師(腎臓内科)が、先駆的な活躍で特に功績の著しい女性に贈られる「京都府あけぼの賞 特別賞」を受賞しました。 この賞は、男女共同 […]

[研究報告]脳神経外科における外視鏡の優位性を確認 ~微小血管減圧術で新たな手術顕微鏡と既存顕微鏡を比較検証~

脳神経外科の手術には「手術顕微鏡」が必要です。1960年代以来、脳神経外科手術では「レンズをのぞき込む手術顕微鏡」を半世紀以上使用してきました。 2010年代になり、「外視鏡」という新たな手術顕微鏡システムが開発されまし […]