公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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チーム医療

一人ひとりの患者様に質の高い医療を実現するために、様々な職種の医療スタッフが連携して、各々の専門的技能を発揮することに力を注いでいます。多方面の専門的な立場からの関わりにより疾病の回復促進、重症化予防など医療や生活の質の向上を目指しています。さらに内科系、外科系、診療支援系それぞれの医師が診療科の枠を越えて協働し、症状に応じてその時々で必要とされる最善・最良の医療を提供しています。

感染制御チーム(ICT: Infection Control Team)

当院ICTは、医療関連感染防止対策の組織として感染制御全般に関与しています。ICTのリーダーは感染症科部長(ICD)が務め、メンバーには医師、感染管理認定看護師(ICN)、感染制御認定薬剤師(BCPIC)、臨床検査技師、理学療法士、管理栄養士、事務などが加わっています。
週1回ICTミーティングと院内ラウンドを実施し、安全で安心できる医療環境を提供できるよう感染予防活動を行っています。

感染制御チーム

主な活動内容

  1. 院内感染事例、院内感染発生率に関するサーベイランス等の情報分析・評価
  2. 院内感染防止対策の実施状況の把握・指導
  3. 抗菌薬の適正使用の推進
  4. 感染対策マニュアル・規程の更新・周知
  5. 職業感染防止対策の推進
  6. 職員研修の実施
  7. 感染防止対策地域連携医療機関との合同カンファレンス
  8. ワクチン集団接種や針刺し・抗体価など衛生管理

メンバー構成

抗菌薬適正使用支援チーム(AST: Antimicrobial Stewardship Team)

近年、安易な(不適切な)抗菌薬の使用による薬剤耐性菌の発生・蔓延に対する対策は世界的にも大きな課題となっています。そこで個々の患者様に対して抗菌薬を使用する際、最大限の治療効果を導くと同時に有害事象を最小限にとどめ、いち早く感染症治療が完了できるように支援を行う事を目的として2017年6月に発足しました。感染症科医師や薬剤師、臨床検査技師、看護師が所属し、活動しています。

抗菌薬適正使用支援チーム

主な活動内容

  1. 他診療科から感染症治療についてのコンサルテーション
  2. 週1回他職種によるカンファレンスを行い、必要時主治医へのフィードバック
  3. 血液から菌が検出された患者様への診断・治療評価
  4. 特定の抗菌薬の開始時及び長期使用時の評価
  5. 医療スタッフの知識向上を目的として、院内全体に感染症治療についての研修会を実施

メンバー構成

褥瘡対策チーム

当院の褥瘡対策チームは、医師、看護師、理学/作業療法士、管理栄養士、薬剤師、事務職と多職種から構成されています。各々の専門性が十分に発揮できるようコミュニケーションを大切にしながら、褥瘡発生の予防や治療効果をあげることを目的にチームで取り組んでいます。毎週木曜日には、院内の褥瘡患者様をラウンドし、主治医・病棟看護師も一緒になって課題を検討し、最善のケア方法や治療の提供に努めております。また、院内の医療従事者へ向けた啓発活動として、年間計画に基づいた研修会を開催しています。深い褥瘡の場合、入院中だけでは治癒せず在宅に戻られてからも継続して治療が必要となります。また、新たに褥瘡を発生させないためには在宅での予防やケアが重要となります。今後は院内での活動だけにとどまらず、地域の医療機関や施設とも情報を共有し、在宅褥瘡ケアのための体制構築に貢献できるよう活動の範囲を広げていく必要があると感じております。地域の先生方のご助言・ご協力をお願いすることもあると思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。

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メンバー構成

認知症ケアチーム

チームの対象者は、身体疾患をもって入院された、認知症患者や認知機能の低下した高齢患者とその家族です。そして、直接ケアを行う病棟看護師をはじめとしたスタッフへの指導や支援を行っています。
身体疾患の苦痛に加えて、認知機能低下に伴う大きな不安を抱えた患者と家族が安心して治療にのぞめること、そして入院を契機とした、身体機能低下、認知機能低下予防を行い、その人らしさが保てる生活へもどれることを目指しています。

主な活動内容

  1. 週に2回(火・金)チームカンファレンスと、病棟ラウンドをおこなっております。
  2. 病棟看護師ともカンファレンスを行い、コミュニケーションや環境調整、在宅復帰への支援、介護支援連携、家族支援、摂食嚥下リハビリ支援、ポリファーマシーの調整、抗精神薬や身体拘束の緩和、中止の提案や支援を行っています。
  3. 定期的に院内研修をおこない、当院医療スタッフのケアの質向上をはかっております。

メンバー構成

遺伝性疾患サポートチーム

われわれ遺伝性疾患サポートチームは、私たちの体の設計図である遺伝子や染色体に生まれつきの変化を持っていることが原因で病気を発症しやすい体質をお持ちの方やそのご家族のサポートを行っております。
このような遺伝子や染色体の変化は全身の細胞で起きているため、一つの診療科だけではなく複数の診療科が連携して診断や治療、診断後のフォローアップなどを含めた遺伝診療を行う必要があります。当院では認定遺伝カウンセラー(遺伝カウンセリングを専門にする医療者)を中心に乳腺外科、消化器内科、消化器外科、小児外科、小児科、産婦人科、耳鼻咽喉科、泌尿器科など多くの診療科の医師、さらに認定看護師、臨床心理士、臨床検査技師が連携をとりチーム医療を行っています。
また、遺伝性疾患サポートチームが関わる診療では患者さんだけではなく血縁者の方々にも関わる可能性があるため、認定遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングを通して、遺伝医療に関わる様々な情報提供や患者さんが希望された場合の遺伝学的検査の体制整備、その後のフォローアップなどをチーム一丸となって実施しています。
遺伝カウンセリングについてはこちらのページをご参照ください。

メンバー構成

呼吸ケアチーム(RCT: Respiratory Care Team)

医師、看護師、理学療法士、臨床工学技士という複数の医療専門職が呼吸に関するそれぞれの分野の専門知識を持ち寄り、安全かつ効果的に呼吸療法が行われるよう、アドバイス・選択・実践する医療チームとして、2010年10月に組織されました。
当院では人工呼吸器対象の患者様だけでなく、NPPVやハイフローセラピー中の患者様のラウンド(回診)も行い、機器の点検や装着による皮膚損傷の有無など安全に使用できているかを観察しています。

呼吸ケアチーム

主な活動内容

  1. チームラウンド

    毎週木曜日に病棟ラウンド(回診)を行い、該当患者様のベッドサイドにおいて診療を行っております。

  2. チーム会議

    第4木曜日に会議を開き、事故予防策や事故発生時の問題解決、人工呼吸器や酸素療法に関する物品の検討、研修の企画などを行っております。

  3. スタッフ教育

    定期的に研修を開き、当院医療スタッフの意識向上を図っております。
    研修内容としては、呼吸器系の解剖生理、人工呼吸器、NPPV、ハイフローセラピーの正しい使用・装着方法、呼吸理学療法、吸引技術などについて看護師及び臨床工学技士、理学療法士向けに研修を開催しています。

メンバー構成

がんリハビリテーションチーム

がん患者さんは、がんやその治療によって体力が低下し、日常生活に支障をきたすことがあります。がんリハビリテーションは、がんと診断された直後から、各治療や病期に応じたリハビリテーションを展開して、がん患者さんの日常生活の質をできる限り維持・向上することを目的としています。

当院では、指定の研修会を受講したスタッフを中心に、がんのリハビリテーションを実施しています。
2015年9月、がん患者に対するリハビリテーションなどの医療の質向上を目的として、「がんリハビリテーションチーム」が発足しました。当チームでは、がん患者に対するスタッフの知識向上を図るため、院内勉強会の開催を始めとして、他チームとの協同や研修会参加の推進などを通じ、院内のがんのリハビリテーションの拡充を進めています。

がんリハビリテーションチーム1

がんリハビリテーションチーム2

メンバー構成

緩和ケアチーム

当院の緩和ケアチームは医師・看護師・薬剤師・管理栄養士・理学療法士・作業療法士・臨床心理士など多職種から構成されています。
がんの診断時からあらゆる時期において、がんそのものや治療に伴う身体的苦痛や副作用、精神的・社会的な不安などの悩み・つらさを和らげ、患者さまとご家族さまのQuality of life(生活の質)を維持・向上させ、「その人らしく過ごせること」を目標に、多くの職種が互いの知識・経験を共有し、専門性をもって主治医や病棟スタッフと協働し、活動しています。
週1回緩和ケアチームカンファレンス・病棟ラウンド(回診)を行い、苦痛症状の緩和及び、患者さまとご家族さまがその人らしい生活を送れるよう、主治医・病棟スタッフと連携しながら調整を行っています。
緩和ケアを必要とする外来患者さまにはがん相談支援センターで面談を行い、入院から外来診療と継続した緩和ケア体制の構築に努めています。

緩和ケアチーム集合

緩和ケアチームカンファレンス

主な活動内容

  1. 緩和ケア専従の看護師が定期的に患者ラウンド(回診)を行い、主治医や病棟の担当看護師と連携しながら苦痛緩和に努めています。
  2. 週1回チームミーティング及び病棟ラウンドを行い、症状緩和及び、より良い生活を送ることができるように調整を行っております。
  3. 外来移行後は患者・家族のニーズに応じ、適宜継続フォローを行います。

メンバー構成

口腔ケア・嚥下リハビリチーム

口腔ケア・嚥下リハビリチームは医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、言語聴覚士、理学療法士、作業療法士と複数の医療専門職で構成されています。食事摂取が困難な入院患者様を対象とし、食べる喜びを支えるための専門医療チームとして2014年に組織され、活動しています。
2018年より、継続的な口腔ケアを行うため医療スタッフの口腔ケアに対する理解の促進、がん拠点病院として歯科との連携促進を図る目的で医科歯科連携を開始しました。
歯科医師・歯科衛生士と共に病棟ラウンド(回診)を行い、患者様のベッドサイドにて嚥下機能評価、口腔ケア、食事形態や姿勢調整およびその指導を行っております。
また必要な患者様には嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査を実施することで、より正確に嚥下状況を把握し、食事摂取の指導を行える体制を整えております。
その他、院内講習会を開き、患者様が日々安全に食べてもらうことを目標とし、病院全体として知識・技術向上に努めております。

口腔ケア・嚥下リハビリチーム

メンバー構成

糖尿病サポートチーム

糖尿病のコントロールはすべての疾患の経過に影響します。糖尿病サポートチームでは、入院中の血糖コントロールを専門の医師、看護師、管理栄養士等の多職種でサポート致します。糖尿病以外の疾患の治療目的で入院された患者様にも適切な糖尿病診療・ケアを早期から提供できるよう活動を行っています。

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主な活動内容

  1. 週1回、金曜日に病棟ラウンド(回診)を行い、患者様のベッドサイドで診療・ケアを行っています。
  2. 薬剤調整、手技指導、栄養指導等を早期から介入することにより、スームズな退院・転院支援を行っています。
  3. 診療活動と通じた患者様とそのご家族の知識の普及、更に医療スタッフも含めた知識の向上を目指しています。
  4. 院内研修会・勉強会を開催し、スタッフの知識向上を図っています。

メンバー構成

栄養サポートチーム(NST: Nutrition Support Team)

当院の栄養サポートチーム(NST)は、医師・看護師・管理栄養士・薬剤師・臨床検査技師・理学療法士・言語聴覚士で構成され、患者様に適切な栄養管理を提供するためのチームです。
入院患者様が、病状や治療のために十分な栄養が経口摂取できない場合などの適切な栄養補給の提案、手術などの術後合併症予防のため、術前からの計画的な栄養管理の提案なども行っています。この活動により栄養状態の改善、治療効果の向上、合併症の予防など、QOL(Quality of Life:生活の質)の向上、在院日数の短縮などを目標として活動しております。
毎週木曜日にチームで病棟ラウンド(回診)を行い、患者様のベッドサイドに訪室、多職種でカンファレンスを行い栄養管理の提案を行います。毎月院内で開催している勉強会では、外部講師などを招き、栄養管理についての啓蒙活動も行っております。

栄養サポートチーム

メンバー構成

精神科リエゾンチーム

「リエゾン」とはフランス語で「連携」や「連絡」を意味する言葉です。「精神科リエゾンチーム」は、主治医や病棟看護師などと連携して、入院中の患者さんの不安、不眠、抑うつ、せん妄など身体の病気に伴う様々な心の問題をサポートするために、平成29年8月に発足いたしました。
チームメンバーは、精神科医、精神科認定看護師、薬剤師、公認心理士、精神保健福祉士で構成されており、それぞれの専門性を活かしたチーム医療を行っています。
活動内容としては、リエゾンチームカンファレンス、ラウンドの実施、治療の評価、方針の検討などで、主科の担当医や病棟スタッフと情報共有しながら、患者さんにとって「より良い医療」の提供を目指しています。
当院ご入院中にリエゾンチームの診療をご希望の場合には、担当医や病棟看護師にご相談ください。

精神科リエゾンチームメンバー

精神科リエゾンチームカンファレンス

メンバー構成

短期プロジェクトチーム

高度な医療を行うためには多くの専門家による診断・治療が不可欠ですが、一方で、病態が複雑に絡み合い、単診療科だけでは診断・治療・ケアに難渋する入院患者が増えております。さらに超高齢化社会の到来で様々な併存症を持った高齢者の入院も増えてきています。このような場合に、一診療科を越えて、病態に関係する診療科の医師や専門家、専門医療チーム・多職種スタッフが集まってプロジェクトチームを形成し、迅速かつ包括的に診療やケアを行います。

主な活動の概要

  1. 複雑な病態や多くの併存症を有する患者、外科術後に想定外の経過を辿るような患者で一診療科での対応が困難な場合、チーム医療担当副院長に連絡する。
  2. 主治医と相談し、関連する診療科や専門家、専門医療チーム、多職種スタッフなどが一同に集まり、初回ミーティングを行います。そして病態の把握と共有、今後の方針決定を行い、短期プロジェクトチームが発足します。
  3. 主治医が中心となって活動計画書を作成し、病院長の承認を得ます。
  4. チームメンバーは主治医・担当医と同様に患者に関わり、診療を行います。
  5. 病態が大きく変化したり、新たな問題が生じたりした場合には、改めてミーティングを開催するなどして、対策を講じます。
  6. 活動終了時には活動報告書を提出します。

メンバー構成

活動実績

2014年から28名の患者様に対して短期プロジェクトチームが立ち上がりました。
複雑な病態の解明や治療、術後の迅速な回復などに役立っています。