公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

膀胱尿管逆流症

膀胱尿管逆流ぼうこうにょうかんぎゃくりゅうしょうとは​

 おしっこは腎臓で作られて、尿管という管を通って膀胱に貯められます。普通は膀胱から腎臓の方へおしっこが逆流しないようになっているのですが、何らかの原因によって膀胱から腎臓へおしっこが逆流する現象です。おおくは、尿路感染(発熱)で発見されます。尿路感染を繰り返すことで、腎臓がダメージを受けるリスクがあります。​

乳児では、成長とともに自然軽快することがあります。​

逆流の程度によって、グレードI~Vに分けられます。

膀胱尿管逆流のグレード

膀胱尿管逆流の治療
‥腎機能障害を予防することが目的​

外科治療を考える場合

  1. 予防的抗菌薬を使っているが​ 尿路感染を起こす。
    尿路感染コントロール不良例
  2. 高度な逆流(V)
  3. 腎機能低下例​
  4. 年長児の繰り返す尿路感染
  5. 下部尿路障害を伴う​高度な逆流​

尿管膀胱新吻合術
(粘膜下トンネル法:Cohen法)

  • 前方から膀胱内に入り、逆流している尿管を膀胱内に​引き出してきます。​
  • 引き出した尿管を膀胱の粘膜の下を這わせて新しい​尿管口を作成します。

メリット

逆流が止まる率が高い(90%以上)​
術後に繰り返し排尿時膀胱造影を行う必要がない。​ ​

デメリット

体に傷が入る。痛み。

内視鏡(膀胱鏡)下手術​

 膀胱鏡下に尿管の開口部の粘膜下にヒアルロン酸を注入し、尿管口を狭くする治療です。  適応はグレードII~IVの膀胱尿管逆流症になります。

メリット

低侵襲である (傷が入らない、30分程度)​ ​   

デメリット

開放手術に比べて治癒率が低い 成功率 70%~90%​
治療後にも排尿時膀胱造影の検査で逆流のフォローが必要
治療後にも逆流が残って感染を起こす場合は、再度ヒアルロン酸の注入を行うか開放手術術を行う必要があります。