公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

急性陰のう症(精巣捻転)

急性陰のう症きゅうせいいんのうしょうとは?

急性陰のう症は陰のうの突然の痛み、発赤、腫れなどを症状とし、早急に診断、治療が必要な状態です。精巣捻転、精巣上体炎などが 急性陰のう症の原因となります。

その中でも、最も重要なのが精巣捻転です。

精巣捻転せいそうねんてんとは?

突然精巣が捻じれ、精巣に向かう血管も捻じれることにより、精巣への血流が途絶える状態です。この状態を放置しておくと、精巣が壊死(腐ってしまう)してしまいます。早急な手術が必要な状態です。

症状は、突然の陰嚢の痛み・はれ・発赤・腹 痛・嘔吐などです。

診断は?

診察と超音波検査で行います。超音波検査で、精巣への血流をみます。しかし、超音波検査を行っても正確に診断がつかないことがあります。その場合は、手術で直接確認する必要があります。

治療は?

緊急手術が必要です。手術は、陰嚢を切開し、精巣のねじれを戻します。精巣の状態(そのまま温存できるかどうか)を観察します。温存できそうなら精巣を陰嚢に固定します。完全に壊死している場合は、残念ですが精巣を摘出します。温存できる確率は、発症から早ければ早いほど高くなります。

さらに精巣捻転をおこす方は、反対側の精巣も捻転しやすい構造となっていることがほとんどです。将来反対側の精巣も捻転する可能性があり、反対側の精巣固定も同時に行います。

手術で精巣捻転ではないと診断されることもあります。しかしもし精巣捻転だった場合、時間とともに精巣の温存率が下がりますので、精巣捻転を疑った場合は手術をおすすめします。

血管が捩れる 精巣に血が通わない

手術後は?

手術後は外来で精巣の状態を診ていきます。手術の時に温存できると判断しても、精巣へのダメージが大きくて、手術後に少しずつ精巣の萎縮が起こる方もおられます。