公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

肛門周囲膿瘍(乳児痔瘻)

肛門周囲膿瘍こうもんしゅういのうよう乳児痔瘻にゅうじじろう)とは?

赤ちゃんの肛門の周りが赤くはれて膿(うみ)がた まる病気です。多くは生後1か月くらいから1歳くらいまでに起こります。皮膚の下にたまった膿(うみ)が、 皮膚から流れ出すことが多く、膿が出てしまえば、 はれは一旦は良くなります。しかし、繰り返し膿(う み)がたまり赤くはれます。肛門の周りが同じように 何か所も、赤くはれることもあります。

原因は?

肛門の奥にはウンチを滑らかに出すような粘液を 分泌する管がいくつも開いています。その管にウンチの細菌が入り込み、その奥で繁殖し肛門の周り に膿のたまりを作ります。そのような肛門周囲から膿が流れ出す状態を痔瘻と呼びます。乳児に見ら れる痔瘻ということで、一般的に乳児痔瘻と呼ばれ ています。乳児期の不完全な免疫力が関係してい ると言われていますが、よくわかっていません。

治療は?

大きくはれている時は、外来で少し切開をして膿を出す処置を行います。膿がたまっては排出するといった事を繰り返しますが、ほとんどが1歳ころまでに自然に治ります。膿が出てくることは体には良い事なので、気長に付き合って治っていくのを待ちましょう。

抗生物質の内服や肛門周囲の消毒の必要はありません。きれいに洗って清潔に保ってあげ てください。また漢方薬が有効だという報告もあります。

幼児期以降の痔瘻は?

乳児の痔瘻はほとんどが自然に治りますが、中には1歳をこえても治らない場合もあります。 その時は手術を必要とする場合があります。また年長児の痔瘻は、大人と同じで手術が必要になることがあります。