公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

鎖肛

鎖肛さこう直腸肛門奇形ちょくちょうこうもんきけい)とは?

昔は肛門が先天的に閉鎖していたので鎖肛と呼ばれていました。しかし、今は肛門の位置が正常ではないなどの異常をすべて含め鎖肛(直腸肛門奇形)と呼んでいます。

一言で鎖肛と言っても、いろんな形があり、それぞれの症例にあった治療を計画していきます。男児では膀胱や尿道に、女児では膣に直腸がつながっていたりすることもあります。

生後すぐの治療は?

肛門がなく排便が出来ない場合は、緊急で人工肛門を作る手術を行う必要があります。一方で小さな穴が開いている場合は、それを広げる手術を行うことで排便が出来る状態になることもあります(その場合、その手術のみで治療が終わることもあります)。新生児期の手術で排便が出るようになれば、落ち着いて直腸や肛門の形態を調べ根本的な治療につなげていきます。

検査は?

直腸や尿道の造影を行い、閉塞している部位や尿道との位置関係を評価します。

根本的な治療は?

ある程度体重が増えたら根本的な手術(お尻を造る手術)をおこないます。直腸の位置や形によって、お尻側だけの手術で行う場合もあれば、腹腔鏡を使っておなか側からの操作も併用する場合もあります。​

人工肛門がある場合は、この時点ではそのままにしておきます。

人工肛門は?

根本的な手術でお尻を造った後、ある程度して傷が落ち着いたら人工肛門の腸をつなげる手術を行います。人工肛門がなくなったら作ったお尻から便が出るようになります。

長期的な排便の機能は?

鎖肛術後の患者さんの排便機能は様々で、全く正常に排便が出来る方もいれば、下痢や便秘になる方もおられます。それぞれの患者さんの排便の問題にあったサポートを外来で行っていきます。長期にわたって外来通院が必要な疾患になります。