公益財団法人 田附興風会 医学研究所 北野病院

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【初診外来受付時間】8:45~11:30(※来院前に必ず診療科別受付状況をご確認ください)
【休診日】第2・第4土曜、日曜、祝日、年末年始 【面会時間】13:00~20:00

治療について(血液内科)

治療について

血液悪性腫瘍に対しては、抗癌剤や、放射線による治療が主となります。抗癌剤はその方の疾患にもっとも適合した薬剤をもちいます。当科で日常的に使う抗癌剤は飲み薬、点滴をあわせると30〜40種類にもなります。副作用が強い薬はこのうちの一部で、吐き気などの副作用を抑える効果的な薬も存在しています。どの薬の組み合わせが、最も副作用が少なくかつ効果があるのか、当科では日々更新される最新のエビデンスに基づいた、最良の治療法をご本人に推薦します。それを含めたさまざまな治療法のうち、どれを選択するかは、最終的には患者様の自由な意思にお任せすることがほとんどです。

抗癌剤以外にも、分化誘導療法、分子標的療法、単クローン抗体を用いたミサイル療法など、さまざまな最新の治療法が可能となっており、病気の完治を目指します。抗癌剤の超大量投与を伴う自己末梢血幹細胞移植術や、一種の免疫療法でもある同種造血幹細胞移植(いわゆる骨髄移植など)もご提供しています。治療期間中で、白血球数が極端に減って抵抗力の落ちた期間は、クリーンルームに入って頂きます。

クリーンルーム

クリーンルームは、治療により白血球数が減少し抵抗力が低下すると考えられる患者様に入って頂く病室です。白血球数が減少すると、人や空気などを介して細菌、真菌(カビ類)、ウイルスなどの病原体に感染しやすく、また感染した場合重症になることがありますので、本来の病気の治療上感染症を予防することが非常に大切です。クリーンルームに設置してあるアイソレーターという機械からは細菌や真菌をろ過したきれいな空気が流れてきます。このお部屋での治療中は原則として室外に出ることは出来ませんので、多少のご不便や不自由があると思います。しかし、抵抗力が落ちている期間は、安全且つ有効な治療を受けて頂くために、清潔な環境で入院生活を送って頂くことが不可欠であることをご理解下さい。

クリーンルームクリーンルームクリーンルームクリーンルーム

北野病院には計15床のクリーンルームがあります。このうちの9床は個室で、残りは3床ずつの大部屋になっています。

*日本血液学会認定研修施設

主な基礎疾患について

白血病

赤血球、白血球、血小板、リンパ球は全身の骨髄の中の造血幹細胞が増殖、分化成熟することで作られます。この造血幹細胞から各種血液細胞に育っていく過程で癌化したものが白血病です。この病気が進行すれば、臓器に浸潤したり、感染症、出血等をおこして致命的になります。 白血病は大きく分類すると、急性白血病と慢性白血病にわけられます。

急性白血病

急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病に分けられます。治療は骨髄性およびリンパ性白血病とも、まずは強力な化学療法(主にJALSG-97プロトコールによる寛解導入療法)を施行することによって完全寛解(骨髄中の白血病細胞を5%以下、正常の骨髄機能が回復している状態)をめざしています。 本院での治療成績は急性骨髄性白血病の寛解導入率は約80 – 90%です。50歳以下でハイリスクの患者さんは寛解後、同種骨髄移植のため京都大学、大阪大学、兵庫医科大学、関西医科大学等に積極的に紹介しています。急性前骨髄性白血病はビタミンA誘導体であるオールトランス型レチノイン酸(ATRA)による分化誘導療法を行い、好成績が得られています。

慢性骨髄性白血病

特異的な染色体転座t (9 ; 22) によってbcr/ablという融合遺伝子ができ、これが慢性白血病をおこします。通常、数年間(3 ? 4年間)は状態は安定していますが(慢性期)、その後急性転化し急性白血病に変わります。 治療の第一選択として、abl蛋白に結合してbcr/abl融合蛋白質の機能をおさえる薬であるグリベックを使用しています。よい治療効果が得られていますが、長期投与の効果はまだ不明といわざるをえません。条件が満たされれば、同種骨髄移植の適応です。 インターフェロン療法や抗癌剤(ハイドレア)投与という選択肢もあります。

慢性リンパ性白血病

リンパ球が末梢血、骨髄に増加する疾患で全身のリンパ節腫脹がみられます。
初期には治療を要しませんが、病期が進めば、抗癌剤(フルダラビン等)の投与が必要となります。

悪性リンパ腫

白血球の一種であるリンパ球が癌化した病気で、リンパ節が腫れたり、肝臓や脾臓等の他の臓器に腫瘍を作ったりします。診断は腫大しているリンパ節の生検を行い、その病理組織診断によって決定します。CT スキャン、骨髄穿刺、ガリウムシンチ等の検査を行い、病期を決定します。
リンパ腫の種類、病期によって治療法が異なります。非ホジキンリンパ腫では多剤化学療法としてCHOP療法を主として施行。京都大学や他施設との共同プロトコールによる化学療法も患者さんの病状によって施行しています。また、ハイリスクの場合は自己末梢血幹細胞移植を施行しています。低悪性度のB細胞リンパ腫やマントルリンパ腫は抗CD20抗体の単独、あるいは化学療法(CHOP療法等)との併用で治療しています。ホジキン病では病期によって、放射線療法のみ、化学療法(主としてABVD療法)との併用、あるいは化学療法のみを施行しています。成人T細胞リンパ腫では治療は各種多剤併用化学療法を選択しています。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫はB細胞の一種である形質細胞が腫瘍性に増殖するものです。
この腫瘍性に増殖する骨髄腫細胞は一種類のタンパク質(モノクローナル(M)蛋白やベンスジョーンズ蛋白)を作り、血中や尿中にそれらの蛋白質が増加します。診断はこれらのタンパク質の同定と骨髄穿刺検査による骨髄腫細胞の増加で行います。また、骨髄腫細胞は脊椎、肋骨、骨盤や頭蓋骨などに骨病変を作りますので病的骨折の原因となります。初期には治療せずに経過を観察することもあります。病期に応じて、MP療法やDMVM-IFN、VAD療法等の化学療法を施行しています。また、骨病変に対しては放射線療法を施行する場合があります。

再生不良性貧血

再生不良性貧血は末梢血の汎血球減少(赤血球、白血球、血小板数すべての低下がみられる)と骨髄の低形成を特徴とする疾患です。造血幹細胞自体の異常に免疫学的機序が加わって発症すると考えられます。診断には少なくとも末梢血検査、骨髄穿刺検査および骨髄生検検査を施行します。治療は重症度により異なります。重症の場合、赤血球輸血や血小板輸血を頻回に必要とすることもあります。 45歳以下の重症例再生不良性貧血患者さんで同胞にHLA の適合したドナーがいる場合は骨髄移植が適応となります。骨髄移植のできない重症例や中等症の場合は免疫抑制療法が第一選択となります。当院でも抗胸腺細胞グロブリン(ATG)あるいはサイクロスポリンの投与を積極的に施行しています。

特発性血小板減少性紫斑病

この病気は自己の血小板に対する抗体が産生されることによって血小板が減少する自己免疫疾患です。自己抗体が結合した血小板が脾臓等の網内系組織で捕捉され、破壊に至ります。なぜ、自己抗体ができるのかはわかっていません。それゆえにこの病気は厚生労働省の指定疾患(難病)になっています。診断には骨髄の巨核球が正常または増加していること、血小板減少をきたす他の疾患を除外できることが条件となります。
治療は血小板が2万/μl以下あるいは5万/μl以下で出血傾向がある場合に始め、副腎皮質ステロイドの投与(プレドニゾロン0.5 -1 mg/kg)が第一選択となります。副腎皮質ステロイドが無効の場合、摘脾術が適応となります。手術時に血小板減少が著明な場合や緊急性がある時は免疫グロブリンの大量投与を行うこともあります。

リンパ節腫脹

リンパ節腫脹きたす基礎疾患には、感染症(ウイルス感染、細菌感染)、悪性腫瘍(悪性リンパ腫、癌の転移)、自己免疫疾患などがあります。本病院では病歴を注意深く聞き、全身状態およびリンパ節の性状を正確に把握することで、必要な検査を決定し、施行する様にしています(血液検査やエコー、CTなどの必要な画像検査、リンパ節生検)。