鼓膜穿孔(鼓膜にあいた穴)の原因はさまざまですが、鼓室内が乾燥し活動性の炎症がない症例では、できる限り早期に閉鎖することが望ましいと考えられます。鼓膜閉鎖の最大の利点は、聴力の上昇です。内耳が障害されておらず、中耳に特別な病変がなければ、通常鼓膜閉鎖後は全例で聴力改善が得られ、QOL(Quality of Life | 生活の質)の上昇に大きく寄与します。
鼓膜再生療法は、当院の耳鼻咽喉科・頭頸部外科部長 金丸眞一 難聴・鼓膜再生センター長が、世界に先駆けて開発した治療法で、2019年11月から我が国では、健康保険が認められた再生医療です。
この治療法は、自然には閉鎖しない鼓膜穿孔に対して通常の手術的処置を行わず、外来で20分間程度の簡単な処置で穿孔を閉鎖しようとする、再生医学を利用した新しい治療法です。当院ではこれまで、数百例の治療実績があり、90%以上の成功率と全例に近い聴力改善を認めております。
まずはじめに、患者様が本治療法に適しているかどうか診察・検査した上で、適していると医師が判断した場合に、後日以下の治療へと進んで参ります。初診・再診時で治療を開始する訳ではございません。ご了承ください。
単純な鼓膜穿孔とは、もともと中耳炎などがなく外傷(耳かきで鼓膜を突いた場合や平手打ちを受けたなど)によって鼓膜が破れ、孔が残った場合で、感染や炎症がない正常鼓膜に孔があいた状態を指します。
単純な鼓膜穿孔の場合は、穿孔の大きさにもよりますが、下記に示したように外来での20分程度の処置で治療が可能で、入院も不要です。
鼓膜がほとんど残っていない場合や慢性中耳炎を伴っている場合は、通常従来の鼓室形成術という耳の後ろを切って、骨を削り、中耳全体の掃除を行った後に、鼓膜の代用として自己の筋肉の膜などの組織を採取して移植を行う本格的手術が必要です。
これに対し、当院では鼓膜再生を応用した新しい治療を開発しています。これは、残った鼓膜の大半を除去し、その穴を通じて内視鏡を用いて鼓室(鼓膜の奥の空間)を清掃し、続いて鼓膜を再生するものです。単純な鼓膜穿孔の治療とは異なり、1,2泊の入院が必要ですが、手術時間も短く、治療もすべて耳の穴から行い一切傷は残りません。
※1回で閉鎖しない場合は、複数回(最大4回まで)治療を行うこともあり、また、この治療を行っても閉鎖しない場合もあります。
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