公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

呼吸器センター

呼吸器センター研修プログラム

プログラム指導者    福井  基成、黄 政龍

内科系

1. プログラムの目的と特徴

  1. 当科研修の最大の目標は、上気道、下気道、肺、胸膜、胸腔、縦隔、横隔膜などからなる呼吸器の特徴と特異性を認識した上で、各呼吸器疾患を理解し、患者の呈する症状と身体所見、検査所見に基づいた鑑別診断、初期治療を的確に行う能力を獲得することである。また、診療に必要な基本的手技や問題解決能力の習得を目指す。
  2. 当科の特徴として、肺癌、肺炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支喘息、間質性肺炎、血管炎など非常に多彩な呼吸器疾患の患者が数多く入院される。研修期間中は多忙を極めるが、様々な呼吸器疾患の診療にあたる機会を大切にしていただきたい。なお、呼吸器症状は、呼吸器疾患のみならず、他疾患の一症状として現れることもある。これらについても、他科との良好な連携のもとに併せて学ぶことができるのも当科の特徴の一つである。

2. 指導体制

  1. 原則として日本呼吸器学会認定専門医の資格を有するスタッフなどとの二人〜三人主治医・担当医制をとっており、日々の診療においてマンツーマンの指導が行われる。その他のスタッフも適宜指導に加わる。
  2. 呼吸器カンファレンスや新患カンファレンスなどで症例を提示してもらい、個々の症例に即した指導を行う。
  3. 週末の部長とのミーティングなどによって、1週間の疑問点、問題点を解消する。

3. 具体的な到達目標

1) 診察法
2) 検査法
3) 呼吸器疾患各論

【緊急を要する疾患・病態】

【臨床経験が求められる疾患・病態】

4. 教育課程

1) 研修医が参加する週間予定・教育活動
2) 研修医が参加して有益と思われる活動

5. 評価方法

研修医の到達度に関する最終評価は、呼吸器内科研修時に指導にあたった研修指導医や病棟師長の意見を参考に、統括責任指導医にあたる呼吸器内科部長により行われる。
評価項目として、(1)研修医による自己評価、(2)受け持ち症例に関するカルテやサマリーの記載状況・考察、(3)呼吸器疾患に関する臨床経験、知識・技術の修得状況、(4)医師に求められる診療態度・人間性など、(5)カンファレンス、研究会などでのプレゼンテーションや議論内容、(6)文献検索能力などが挙げられる。

6. その他

研修1-2年目は、医師に求められる人間性・診療態度などを修得する極めて重要な期間である。多忙な毎日にあっても、常に患者中心の診療を忘れないことが最も大切である。

外科系

1. プログラムの目的と特徴

呼吸器外科診療により呼吸器、縦隔、胸郭の病態、症状を理解すると共に臨床医としての基本的な知識や技術、患者に対する対応を身につける。

特に癌死亡の第1位となっている肺癌の診断,治療についての知識は将来他領域に進むに際しても役に立つと思われ、また外科専門医の取得に必須の症例を経験できる。

上級医師の指導のもとに呼吸器外科入院患者の担当医となり各種検査、手術、術後管理を経験し、診断の付け方、手術適応の決定過程、術後治療などを経験し、診療の進め方を理解する。

各種カンファレンスに出席し診断能力の向上に努め、各科との連携、治療方針決定への過程を学ぶ。

2. 指導体制

日々の指導は原則として日本外科学会指導医、日本胸部外科学会認定医、日本呼吸器外科学会認定専門医の資格を有するスタッフが行う。研修医は受け持ち患者の症例レポートを作成し、これを元に部長は毎月1回、研修医と面談し、到達度や問題点について話し合う。

3. 具体的な到達目標

代表的な疾患や病態、検査法、手術法別に経験 修得すべき事項

1) 頻度の高い症状
2) 緊急を要する症状、病態
3) 経験が求められる疾患、病態

扱っている疾患の7割は悪性疾患のため術後治療が必要な場合が多い。肺癌の場合呼吸器内科と連携して行っている。これら癌患者の化学療法や放射線治療の適応の判断、実施を経験する。

4. 教育課程

1) 研修医が参加する週間予定・教育活動

5. 評価方法

研修医の到達度に関する評価は、呼吸器外科研修時に指導にあたった研修指導医の意見を参考に統括責任指導医にあたる呼吸器外科部長により行われる。
評価項目として(1)研修医による自己評価、(2)受け持ち症例のレポートに加えて、(3)担当研修指導医・統括責任指導医との面談の中で臨床経験、知識、態度など医学的経験や知識に加えて呼吸器外科医に望まれる人間性を含めた評価を受ける。

6. その他

当診療科に於ける研修の特徴

呼吸器外科の診療を行っており、最近の癌罹患率で男性第一位である肺癌、女性第三位の肺癌を主に扱っている。また肺気腫にたいする容積縮小術も行っており、気胸や重症筋無力症を含んだ縦隔腫瘍も多く、手掌多汗症など多彩な疾患の経験が可能で、これらの外科的治療を経験することにより、全体としてバランスの取れた研修が可能となる。ローテート中には各疾患の基礎的病態、症状の把握、呼吸器外科、とは何をしているのかを経験していただきたい。