プログラム指導者 塚本 達雄
医師として全人的に患者に対する姿勢を身につけることを第一の目標とする。腎臓内科学は腎臓原発性の疾患のみならず、全身性疾患の発現場所である腎臓疾患を対象とするが、その臓器特異性を理解し、病態の把握を確実に行う能力を身につけ、最適な治療法を選択するための研修をおこなう。
上の基本理念を念頭に置き以下の事を目的とする。
部長、副部長(血液浄化センター室長、病棟医長)、医員と腎臓内科専攻シニアレジデントが指導に当たる。スタッフはそれぞれ日本内科学会専門医、指導医、日本腎臓学会専門医、指導医、日本透析医学会認定指導医の資格を有する。
腎炎やネフローゼ症候群といった疾患の最終診断は腎臓の組織検査(腎生検)で行います。 患者さんは腹臥位となり、術者は主に左腎の中極から下極にかけて腎臓表面に近い部位をバイオプチーガンで瞬間に採取する。補助者はエコープローブを固定します。採取する生検組織は鉛筆の芯の細さで約1-1.5cmくらいです。 とられた組織は各種顕微鏡による分析を行い、診断がつけられ、病変に応じた治療が開始されます。
血液浄化センターでは慢性腎不全の持続血液透析をはじめ各種の血漿交換療法、吸着療法等を行っています。毎週の回診で、医師、看護婦,技師が患者さんの訴えを聞き、診察をして問題点を討論し方針の検討を行います。
主訴、家族歴、既往歴の聴取(学校、職場での検査結果も参考にする)
身体所見の理学的把握、
浮腫、血圧上昇、心不全症状、貧血など
月 | 16:00〜18:00 | 腎臓内科病棟カンファレンス |
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火 | 10:30〜12:00 | 血液浄化センター部長回診 |
16:00〜18:00 | 腎生検カンファレンス | |
水 | 8:00〜9:00 | ジャーナルクラブ |
9:30〜10:30 | 血液浄化センター部長回診 | |
10:30〜12:00 | 腎生検術見学 | |
15:00〜16:00 | 腎エコー見学・実施 | |
木 | 8:00〜9:00 | 血液浄化センターカンファレンス |
15:30〜16:30 | 腎エコー見学、実施 | |
金 | 8:45〜9:15 | 腎臓内科病棟重症回診 |
15:00〜16:00 | 副甲状腺エコー見学・実施 |
その他の時間は毎朝午前9時から準備される血液浄化法の見学を行う。
2) 研修医が参加して有益と思われる活動
毎月一度行われる関西腎疾患カンファレンス、北大阪腎カンファレンスに出席、演題提出を行う。そのための抄録の準備、発表の手順の習得、出来れば論文作成の実際を体験する。
適当な症例があれば、内科近畿地方会、西部腎臓学会、透析医学会に提示する。
上記の指導資格を持つスタッフ医師および、病棟、血液浄化センターの各看護師長、主任、臨床工学技士長、主任により総合的に評価を行う。
評価項目は以下の点を中心に行う。
当院では無症候性の軽微血尿から慢性腎不全で透析を施行している重篤な病態まで一貫して対応している。疾病を患う人に対する全人的な対応が要求されるが、特に軽微で自覚症状のない初期の段階から的確な診断と生活指導によって重症に至らないように患者を導くための医師としての一貫性が不可欠である。
一方、長期に渡って透析医療を余儀なくされる、慢性腎不全患者に対してはその病態への注意深い検索もさることながら、精神的サポートも大きな治療の一環である。これらを各医療チームを連携して行う医療の研修が要求される。特に医学研究所としての本院の特性から疾患から得られる全ての情報は未解決の様々な課題の解決のヒントを提供する可能性をふくむものとして、集中力を持って対応することが重要で、そのための研修も充分になされることを希望する。