子宮頸がんに加えて子宮体がんにおいてもセンチネルリンパ節生検検査を行えるようになりました。
初めにがんができた場所(原発巣)から、身体の他の部分にがんが拡がることを転移といいます。
大きく分けて、血液の流れ、リンパ液の流れの二つのルートでがんは拡がります。
リンパ液の流れの中に出たがん細胞が、リンパ節というところに流れ着いて、そこで増殖した状態をリンパ節転移といいます。
子宮頸がん・体がんは血液の流れに乗るよりも、リンパ液の流れに乗って転移しやすいとされている病気です。
“見張りリンパ節”、”前哨(ぜんしょう)リンパ節”などとも呼ばれています。『がん細胞がリンパ液の流れに乗って最初に到達するリンパ節』のことです。したがって、がんのリンパ節転移は、まず最初にセンチネルリンパ節に起こることになります。
このセンチネルリンパ節を、手術中に調べて転移の有無を診断する、ということによってその手術の方針に大きな影響を与えられます。
センチネルリンパ節検査は乳癌ではすでに臨床的に広く導入されており、子宮頸がんや体がんにおいてもすでにいくつかの研究成果がだされ、有用性が示されてきています。
当産婦人科では、子宮頸がんの「センチネルリンパ節」と呼ばれるリンパ節を見つけ出して摘出する研究を行ってまいりました。さらに子宮体がんについての研究もできるようになりました。
センチネルリンパ節は原発巣から初めに流れを受けるリンパ節であるため、これを見付けて詳しく調べることができれば、小さなリンパ節転移も見逃さず摘出することが出来ます。
また、センチネルリンパ節を検査して転移がなければ、他のリンパ節には転移がないと考えられます。将来的にはセンチネルリンパ節に転移が無ければ他のリンパ節は摘出せず、手術による身体の負担を減らすことが出来るようにするのが目標です。
現在の段階では、センチネルリンパ節を検査で確認し詳しく転移の有無を調べますが、従来通りのリンパ節郭清はまだ必要です。しかし、リンパ節郭清の仕方の強弱を調整できるようになりましたし、手術中に、今までは発見できなかった小さな転移を発見することによって、治療方針に大きな影響を与える決定ができるようになっています。
現在この検査を行っているのは、近畿地方では当院だけです。