ふくらはぎに青いこぶがあったり、あしがだるく感じたりしたことはありませんか?
人間の血管には心臓から末梢に向かう動脈と末梢から心臓に帰る静脈があります。下肢の静脈では血液が重力に逆らって心臓に戻りますが、これはふくらはぎの筋ポンプ作用と静脈の中の弁のおかげで成り立っています。この弁が破壊され静脈血が逆流するようになり静脈が異常に拡張し蛇行するようになったものが静脈瘤です。
下肢静脈瘤の自然経過
左:一般的な下肢静脈瘤
中:色素沈着
右:難治性皮膚潰瘍
長時間立ち仕事を続けている方や高血圧、心不全などの病気をもつ方に多く認められます。妊娠中に発症しその後も徐々に悪化する女性の方もおられます。主にふくらはぎの内側に青ずんだやわらかい瘤(こぶ)ができます。長時間の下げ足や歩行によって下肢にだるさを感じて休みたくなることがあります(間欠性跛行、かんけつせいはこう)。また悪化すると茶色くくすんだ色素沈着が出現し、さらに経過すると皮膚のただれやキズ(皮膚の潰瘍)ができることがあります。この皮膚の潰瘍は非常に強い痛みを伴い、軟膏治療を施してもなかなか改善しないことから、難治性皮膚潰瘍と呼ばれています。色素沈着や皮膚潰瘍のある方は手術を強くお勧めしております。
血液の逆流を防ぐ静脈弁が機能しているかを超音波検査(エコー)にてお調べします。この検査はゼリーを塗ってプローベと呼ばれる探子を当てるだけですので痛みはありません。また静脈の直径や逆流時間を調べて治療方法の選択の指標にしております。また過去または現在に深部静脈血栓症になっていないかを調べることも可能です。全体的に血管の病態を把握するために断層撮影を用いた血管撮影を行なうこともあります。これは造影剤を点滴しながらMRIを撮影します。
エコー検査の実際(赤色が血液の逆流)
MRIによる血管撮影の実際(矢印が静脈瘤)
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