外科研修プログラム
プログラム指導者 寺嶋 宏明
1.プログラムの目的と特徴
1年次必須研修で得た知識を生かし、基本的な知識・技術の習得を目指す。
- 外科病棟においては、専門別に分化したグループを2ヶ月毎にローテートし、やや専門的とされる各領域の問題点について基礎知識を蓄積する。
- 専門別グループは下記の通りとする。
- (1)上部消化管グループ
⇒食道癌・胃癌への治療戦略
- (2)下部消化管グループ
⇒結腸癌・直腸癌における治療戦略、内視鏡・鏡視下手術
- (3)肝胆膵グループ
⇒multimodelity therapyに向けて
※ 各グループで週1回「術前術後症例検討会」を行い、治療方針についての認識を深める。また、術後の経過を考察することから、次への治療(2nd-line)についてグループ討論を徹底的に行い,消化器癌治療の実践へと結びつけてゆく。
2.研修指導体制及び基本的目標
- 日本消化器外科学会指導医による手術指導を原則とする。ガイドラインに沿った臓器別の基本的治療について理解を深める。
- 虫垂炎手術、ヘルニア手術、鏡視下手術、胆嚢摘出術などの術者を目指す。
- 基本的手技(切開・縫合・ドレーン処置など)を徹底、マスターするとともに術後管理に重点をおいた患者管理の習得を目指す。
- 各種学会への発表を含めた症例報告論文の作成を考える。
- 論文の読み方,EBMについての理解を深める。
3.到達目標
- 概論・・・・本研修目標は1年次2ヶ月を踏まえた上での、2年次6ヶ月(消化器外科のみ)を対象とする。
- 具体的到達目標
- (1) チーム医療
- 医師、看護師、理学療法士などからなる医療チームの一員として協調的に医療に参画する。
- 指導医や専門医に適切かつ適宜相談する。
- 上級、同僚、他の医療従事者と適切な交流を行う。
- (2) 医療面接・問診
- 患者の病歴の聴取、記録する。
- インフォームドコンセントが何であるのかを理解し、患者・家族に適切な指導、指示をする。
- (3) 文書記録の記載
- 患者の診療全般に関する記録文書を作成する。
- 診療録をPOS(Problem Oriented System)に従って記載し、管理する。
- 処方箋、日々の処置、検査指示箋の正確な記載を行い、管理する。
- 紹介状あるいは紹介状への返信を作成、管理する。
- (4) 安全管理・医療リスク管理
- 医療現場での安全管理・医療リスクを理解し,患者の安全を確保する。
- 医療事故防止、及び事故後の対処について、マニュアルなどに沿って行動する。
- 院内感染対策を理解し、実施する。
- (5) 術前管理
- 術前の身体的(特に心肺)管理,薬物投与の継続・中止等についての知識を持ち実践する。
- 栄養管理(食事療法、経腸栄養、中心静脈栄養)、輸液管理の知識を持ち、実践する。
- 抗生剤、抗癌剤などの使用適応・禁忌、投与方法を熟知し、処方する。
- 下剤、IVHなどの疾患に応じて必要な術前処置を挙げて、指示する。
- 胃管の挿入、導尿、浣腸の処置を行う。
- 麻酔科依頼書の適切記載と麻酔科医との情報交換を行う。
- (6) 外科治療への参画
- 局所麻酔法、麻酔薬の種類を理解し,実施する。
- 腹部手術に必要な解剖を理解し,手術術式について理解する。
- 手術に必要な器具の使用方法を理解し,実施する。
- 消化器癌に対する手術の考え方を理解し、適切な介助を行う。
- (7) 術後管理
- 術後急性期の循環・呼吸器系の異常な病態について、理学所見、各種モニター指標、血液ガス分析、血液、生化学的検査を綜合して迅速に把握する。異常な病態に対しても速やかな薬物治療、外科的処置によって対処する。
- ガーゼ・包帯交換処置を行い、ドレーン内容の観察と性状の判定を行う。
- 抜糸の原則を知り,実施する。
回診風景
- 日常活動について
●週間・月間予定表
週間予定 | 月間予定 |
月曜日 |
・術前症例検討会(午前) ・手術日 |
月1回 |
・研究室カンファレンス |
火曜日 |
・病理合同カンファレンス ・部長回診 ・諸検査 |
月1回 |
・臨床研修カンファレンス |
水曜日 |
・術前症例検討会 ・手術日 |
月1回 |
・臨床ビデオカンファレンス |
木曜日 |
・病棟重症カンファレンス ・case presenteation ・術前カンファレンス(消内・放科合同) |
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金曜日 |
・術前症例検討会 ・手術 ・外科講義(日程は都度決定する) |
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土曜日 |
・術前症例検討会(問題症例の検討) |
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