公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

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顔面けいれん・三叉神経痛・舌咽神経痛

顔面けいれん

顔の片側が引きつるようにけいれんする病気です。下のまぶたの軽いけいれんから始まり、数年から4−5年で片目が閉じたり、同じ側の頬や口角が引っぱられるほどけいれんが強くなることもあります。40歳から50歳代の方を中心に幅広い年代に現れる疾患です。

この疾患のほとんどの方で、脳や神経を栄養する血管が、脳から分かれた顔面神経を圧迫し、神経を痛めていることが原因となっています。顔面神経は顔の表情を作る筋肉(表情筋)の運動を調整していますが、血管による圧迫が続くと神経の活動が異常となり、けいれんを起こすと考えられています。

治療法は、手術とボツリヌス治療があります。当院では1980年代から手術治療に取り組んでおり、神経を圧迫している血管を動かして神経の回復を助け、症状を改善させる微小血管減圧術(神経減圧術)を行なっています。1年間に70名から100名の方が当院でこの手術を受けておられます。

当院は日本脳神経減圧術学会に所属し、主任部長(戸田)は役員・運営委員を務めています。

ボツリヌス療法は注射で表情筋の緊張を緩和させます。当院ではボツリヌス療法も行なっております。

三叉神経痛・舌咽神経痛

三叉神経痛は、顔や口の中に電気が走るような非常に強い短時間の痛みが特徴的な病気です。食事や洗顔、顔に風が当たるだけで痛みが出ることもあります。60歳以上の方に見られる疾患です。

舌咽神経痛は、三叉神経痛よりも稀で、食べものや飲みものを飲み込むと喉や耳に激痛が走る病気です。

原因の多くは三叉神経が脳に入っていくところで脳や神経を栄養する血管が三叉神経を圧迫し、三叉神経を痛めていることが原因となっています。それ以外には脳腫瘍、血管奇形、多発性硬化症など稀な疾患が原因の場合、また原因不明例もあります。舌咽神経痛の原因も血管による神経の圧迫であることが多くMRI検査や耳鼻咽喉科の検査で診断します。

治療法は内服薬(カルバマゼピン)と手術があります。当院では神経を圧迫している血管を移動させて固定する微小血管減圧術(神経減圧術)を行っており、高齢の方でも安全に手術を受けていただいけるよう工夫しております。1年間におよそ20名から30名の方が当院でこの手術を受けておられます。

その他の難治性疼痛

脳卒中や脊骨の損傷・変性などが原因となる、神経の損傷に由来する難治性の痛みがあります。これらの痛みを緩和する目的で、脳深部刺激療法(DBS)や脊髄硬膜外刺激療法(SCS)を行なっておりますのでご相談ください。