当院は大阪府の地域周産期母子医療センターに指定されており、産婦人科と小児科、麻酔科、小児外科が密に連携してクリニックで対応困難となった妊婦さんの受け入れを行っています。特に当院小児科ではNICUスタッフが24時間態勢でスタンバイしており、分娩時の突然の異常にも即座の対応が可能になっています。
近年、以前と比較して高年齢での妊婦さんが増えています。このような妊婦さんでは、高血圧、糖尿病、自己免疫性疾患などの様々な内科疾患を持病として持たれている場合も多く、妊娠中は特別な注意が必要になります。当院ではこれらの内科疾患の妊娠・分娩管理を院内の専門的な内科と密に連携して行っています。産後も引き続き専門的な内科管理が必要なことも多く、そのような場合も当院で分娩された後、スムーズに内科診療に引き継ぐことができます。
当院では高度生殖医療によって妊娠された妊婦さんを診療する機会が多くあります。高度生殖医療による妊娠では、分娩時出血量が多くなる可能性が最近注目されていますが、当院でも以前より産科出血に関する臨床研究を行っています。その知見をもとに、当院では妊娠後期のMRI検査による出血リスクの評価を行うと共に、出血リスクの高い妊婦さんでは事前に自己血貯血を含めた出血対策を積極的に行っています。
当院では妊娠中のお母さんの健診時の超音波で赤ちゃんに何らかの問題が疑われた場合、小児循環器を専門とする小児科医師による赤ちゃんの超音波検査を妊娠中に行うことにより、分娩時の管理方針を決定しています。
帝王切開分娩では、術後のキズの痛みはお母さんの負担になります。当院では2023年秋より可能な限り帝王切開時に硬膜外麻酔を行うことにより、術後の疼痛緩和を図っています(緊急手術などの際はその限りではありません)。
一方、経腟分娩においても、最近日本でも硬膜外麻酔による無痛分娩が普及しつつあります。当院でも2024年春以後、対象を絞っての安全な無痛分娩を導入予定です(経産婦さんで、計画分娩にご理解を頂ける方が対象です。詳しくは担当産科医師にお尋ねください)。