公益財団法人田附興風会 医学研究所北野病院

診療看護師室

診療看護師室長ご挨拶

佐藤 正人(診療看護師室長・副院長・医療の質管理本部長)

2025年4月1日、医学研究所北野病院に診療看護師室が開設されました。

診療看護師(Nurse Practitioner : NP)とは、看護師としての5年以上の実務経験を経た後、NP養成課程の大学院を修了後、NP資格認定試験に合格した専門職です。NPは医師の指示のもと、看護師特定行為21区分38行為を看護師特定行為手順書に基づき実施するとともに、患者さんの病態のアセスメントと症状のマネージメントを行います。さらに、NPは患者さんと医師・看護師の橋渡しの役割も担っています。診療看護師室は在職するNPを統括管理し、NPの教育から労務管理、また各診療科との連携などを担っています。まだまだ新しい部門ですが、診療看護師室・NP一丸となり、より良い医療の提供を目指してまいります。

当院での診療看護師(NP)の役割

多職種ラウンド
多職種ラウンド

病棟業務
病棟業務

手術介助
手術介助

NPとは

診療看護師(NP)制度は、2008年より米国におけるナースプラクティショナーをモデルに教育が開始されました。日本NP教育大学院協議会が認定するNP養成課程の大学院を修了し、NP資格認定試験に合格したものをNPと呼んでいます。

特定行為として制定された21区分38項目の内容についてはすべて実施が可能ですが、それらの枠組みにとらわれず、医師と共に相対的医行為なども行いながら、診療業務を補助する役割を担っています。また、医師が手術や外来業務を行っており、病棟などに医師がいないときに、NPが患者さんの症状に応じたタイムリーな診療を提供することができ,重症化(状態の悪化)等を防止し、患者さんのQOLの向上を図ることができます。

したがって、NPには、絶対的医行為を除く診療行為を自律的に(責任を持って自らの判断により)提供できる能力を備えることを求められています。

当院での働き方

当院では、NPをKitano Nurse Practitioner(KNP)と呼び、KNP室に所属し各診療科に出向する形で勤務します。それぞれのNPが働きたいと思っている部署で、NPが欲しいと考えている診療科がマッチしていれば、その部署で働くことが可能となります。仕事の内容は、NPのやる気と希望で相談しながら決まっていきます。

新人NPについては、ローテーション研修を行うように、現在プログラムを調整中ですので、大学院を卒業され資格取得されたばかりでも、指導医や先輩NPからの指導や研修を受けることができます。

NPと一緒に仕事をしたい、手伝って欲しいという診療科も増えています。

スタッフから一言

深井 照美(心臓血管外科 診療看護師)

元々は、創傷・ストーマ・失禁ケア看護師(WOCN)としてストーマ外来や褥瘡・創傷管理のエキスパートナースとして仕事をしていました。さらに良い創傷管理を行いたいと考えていたところ、NPの資格について知り大学院への進学をするに至りました。

NP資格を取得し2年間のローテーション研修終了後、一環として心臓血管外科の入院時や周術期管理に関わり、看護師視点(目線)の退院支援中心に医師とともに実施して参りました。

手術日は医師不在となる集中治療室や病棟の患者さんの初期対応を任せてもらうNPとして仕事をしています。一緒に働く看護師からは、いつでも質問ができる、困った時に相談できすぐ対応してもらえると評価いただいています。私自身も、途切れることのないシームレスな医療ができるようになりたいと考えており、引き続き、研鑽を積んでいきたいと考えています。

NPとしての目標の実現のために、一緒に努力しませんか?

荻野 均(心臓血管外科 特任部長)

心臓血管外科では、2023年12月に救急部所属のNPが週1回の参画を開始し、その後、週2回に増えました。これをきっかけに、2024年4月には専属のNPを採用することができ、現在は外科医3名とNP1名の計4名で日々の業務を遂行しています。

当科の専属NPは手術には直接参加せず、「外科医に手術に専念してもらいたい」という自身の考えのもと、手術以外の周辺業務をサポートしています。具体的には、以下の業務を担当しています。

  1. 外来補助:手術症例の入院前の把握、退院後の外来指導
  2. 術前準備:サマリー作成 術前検査チェック
  3. 周術期管理:パスの作成・実行、ICU・HCUおよび病棟管理
  4. 退院時業務:文書作成、経過説明、転院調整

これらは、外科医が後回しにしがちで、十分に対応しにくい部分ですが、NPが適切に補完してくれています。当科の専属NPは、長年の看護師経験に加え、10年以上のNP経験を持ち、的確な対応を行っています。その結果、周囲からの評判も非常に良く、「痒い所に手が届く」存在となっています。

現在、日本全国で心臓血管外科医の減少と高齢化が進んでおり、当科も3名体制で業務を行っています。そのため、病棟やICUで外科医が不在となることが多々ありますが、その際、NPは医師と看護師の橋渡しとして機能し、状況に応じて外科医に代わり独自の判断で看護師への指示出し、他科との調整、患者・家族への説明を行っています。

NPの導入により、心臓血管外科のみならず、心臓センター全体の診療がよりスムーズかつシームレスになり、症例数の増加や成績の向上にも寄与しています。今や、NPはなくてはならない存在となっています。

「KNP室」の新設により、他科でもNPの配置が進めば、北野病院全体の診療の質がさらに向上し、症例数の増加にもつながると考えています。

採用情報

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