この度本態性振戦やパーキンソン病の新しい治療法としてMRガイド下集束超音波治療を導入します。当院では1996年に定位的淡蒼球切裁術、2000年から脳深部刺激療法を始め振戦やパーキンソン病、書痙や斜頸のジストニアの治療体制を整えてまいりました。今回MRガイド下集束超音波治療が加わり、当院の本態性振戦・パーキンソン病の治療がさらに充実いたします。
このMRガイド下集束超音波治療では皮膚や頭蓋骨を切らず治療機器も埋め込みません。ふるえやからだのこわばりの原因となる脳の一点に超音波を集め、神経の異常活動を抑え、ふるえやこわばりを軽くします。「きる」手術ではなく、手術の危険性や治療機器の埋め込みを心配なさる方にもお勧めできます。
本態性振戦の有病率は人口の2.5~10%、65歳以上では5~14%と高まります。治療薬の副作用である、心不全、ふらつき、めまい、眠気などで十分に治療できず、食事など日常生活動作にお困りの方が多くおられます。またパーキンソン病も加齢とともに有病率が上がり、いずれの疾患でも高齢のため手術の危険性が高いと判断することがしばしばありました。
今回導入のMRガイド下集束超音波治療は切開しない安全な治療法です。また治療を行いながら効果判定とMRI撮影を行え、治療効果と安全性が飛躍的に高まります。パーキンソン病や本態性振戦でお困りの患者さんはぜひご相談ください。