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消化器内科
治療について

消化管部門

食道癌、胃癌、大腸癌などの悪性腫瘍、胃ポリープ、大腸ポリープなどの良性腫瘍、胃食道逆流症、胃・十二指腸潰瘍、ヘリコバクター・ピロリ感染症、機能性ディスペプシア、急性腸炎、虚血性腸炎、大腸憩室出血、腸閉塞、便秘症、過敏性腸症候群などの病気を取り扱っています。
内視鏡検査は拡大機能のある内視鏡を使用し、病変の早期発見、正確な診断に努めています。また、鎮静剤、鎮痛剤などを併用し、苦痛の少ない患者さんにやさしい内視鏡検査を心掛けています。平成29年度は上部消化管内視鏡検査の総数は8,942件、下部消化管内視鏡検査の総数は3,669件でした。
吐血や下血などの患者さんに対しては、24時間体制で緊急内視鏡の受け入れを行っています。平成29年度の緊急内視鏡の総数は275件で、そのうち止血処置を行った症例は73件でした。
大腸憩室出血については、臨床研究としてEBL(バンド結紮術)による止血術を積極的に行い、良好な成績を得ています。
また、原因不明の消化管出血の患者さんに対しては、ダブルバルーン内視鏡、カプセル内視鏡を用いて、原因の検索を行っています。平成29年度はバブルバルーン内視鏡が28件、カプセル内視鏡27件でした。
粘膜内にとどまっている早期癌に対しては、ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行っています。平成29年度は食道ESDが7件、胃ESDが79件、大腸ESDが46件でした。内視鏡治療後は内視鏡写真と病理組織像の対比を行うことによって、内視鏡の診断能の向上に努めています。
進行癌の患者さんに対しては、手術、化学療法、放射線療法のうち最適な治療法を提案できるよう、消化器外科、放射線科、腫瘍内科と連携を行っています。
腫瘍による通過障害で、食事がとれない、腸閉塞になった患者さんには、消化管ステント留置術を行っています。平成29年度は食道ステントが2件、胃十二指腸ステントが4件、大腸ステントが26件でした。

小腸

平成29年度はダブルバルーン小腸内視鏡検査5件、カプセル内視鏡検査7件を施行しました。平成24年からはパテンシーカプセルを導入し、狭窄が疑われるクローン病症例ではカプセル内視鏡を行う前にパテンシーカプセルによる小腸の通過性を確認しております。
小腸癌に対しては手術や化学療法など集学的治療を行っており、また十二指腸乳頭部腫瘍については、内視鏡的切除術(パピレクトミー)を積極的に行っています。

肝臓部門

肝癌治療

平成29年は年間66例に経皮的穿刺治療(経皮的エタノール注入療法(PEIT)、ラジオ波焼灼療法(RFA))を施行しました。適応は原則Stage 1ではRFA単独治療を第一選択、それを超えるものについても侵襲度、治療効果、合併症を勘案し肝動脈化学塞栓療法(TACE)を併用しながら3cm 3個程度までを適応としています。
腹部超音波検査も通常のBモードのみでは腫瘍の同定が困難な場合(再生結節・dysplastic noduleが多発した状態、TACE・RFAの治療痕近傍に再発した場合など)ではRVS(real-time virtual sonography)を使用しUSと同断面のCT/MRのMPR像(仮想US像)をリアルタイム表示することで目的の腫瘍を同定します。さらに必要があれば超音波造影剤(ソナゾイド)を使用し、腫瘍のviabilityの確認には血管相による腫瘍濃染を、存在部位の確認には実質相(Kupffer image)を参照し造影後ただちにRFA治療を行っています。
合併症としては一過性の発熱、肝機能障害、腹水貯留はありますが、いずれも保存的治療で軽快しています。
転移性肝腫瘍については十分なエビデンスはありませんが、原発巣がコントロールされ2cm以下程度のものについてはインフォームドコンセントのうえでRFAを施行しています。
TACEは120例に施行しました。抗がん剤はfirst lineにエピルビシン、マイトマイシンの併用、second lineにはシスプラチンまたはミリプラチンを使用しています。治療効果不十分の症例ではBalloon閉塞下に腫瘍への薬剤集積性を高める工夫(B-TACE)やエピルビシンを含浸させた抗癌剤溶出性ビーズによる治療(DEB-TACE)も行っています。
TACEの効果が十分でないと判断した場合には全身状態・肝予備能を考慮しリザーバシステムを留置した持続動注療法や分子標的薬レンバチニブ・ソラフェニブを投与しています。

肝炎治療

肝硬変への進展抑制、肝発がん予防の観点から、慢性肝炎の制御は重要ですが、近年の抗ウイルス療法の急速な進歩によりウイルス性肝炎は完全制御の時代に入りつつあります。当院でのB型肝炎に対する核酸アナログ投与例は198例でほぼ全ての症例で非活動性の状態にコントロールされています。若年者ではPEGインターフェロンを使用することにより長期的にはdrug freeの状態でコントロール出来るよう治療を試みています。
C型肝炎治療は2014年9月以降DAA(Direct-acting Antiviral Agent)を2剤使用するいわゆるインターフェロンフリー治療に急速に移行しました。炎症・線維化の程度、発癌のリスク、腎機能、心機能、HCV薬剤耐性を考慮し、治療薬の選択・適応を考慮しながら治療しています。不成功となるケースは少ないですが、あらかじめ治療前血清を保存し、薬剤耐性変異の解析を行い次の治療の参考にしています。
これまでgenotype 1型に対してはダクラタスビル(ダクルインザ)/アスナプレビル(スンベプラ)18例、レジパスビル/ソホスブビル(ハーボニー)147例、パリタプレビル/オムビタスビル(ヴィキラックス)4例、エルバスビル(エレルサ)/グラゾプレビル18例(グラジナ)に使用し97.9%(183/187)の奏効率となっています。genotype 2型に対してはソバルディ(ソホスブビル)/リバビリン 42例、ヴィキラックス/リバビリン 1例に使用し
93.0%(40/43)の奏功率となっています。

胆膵部門

当院では膵・胆道癌の早期発見を目指し、日々精度の高い画像診断と内視鏡治療に力を入れています。特に大阪北エリアの4医師会(北区、大淀、都島区、東淀川区)と4総合病院(北野、済生中津、大阪市立総合医療センター、淀川キリスト教病院)が中心となって『大阪市北エリア早期膵癌プロジェクト』を展開し、平成27年からは大阪赤十字病院も参加しております。また、胆膵処置困難症例も多数ご紹介いただいています。症例数は増加傾向で、関西でも指折りの症例数を誇っています(平成29年度の胆膵内視鏡総件数1,283件)。
内視鏡治療としましては、胆管結石治療、慢性膵炎に対するステント治療、乳頭部腫瘍に対する内視鏡的乳頭切除術、胆管狭窄に対するプラスチックステントや金属ステントを用いた胆管ステント治療、感染性膵仮性嚢胞に対する超音波内視鏡下ドレナージ術、超音波内視鏡下胆管・膵管ドレナージ術など、最先端の治療を行っています。
ERCPでは卒後3-5年目のレジデントが先発し(各々年間約100例前後のERCPを経験しています)、10分以上経っても胆管挿管できない場合に上級医に交代するようにし、レジデントの教育に力を入れております。平成27年度の胆管挿管目的の初回乳頭症例190例において、最終の胆管挿管成功率は98.9%(188例/190例:挿管不能の2例の内訳は胃癌術後胆管炎症例のDB-ERCPでの胆管挿管不能1, 乳頭部腫瘍の内視鏡切除前検査の胆管挿管不能1)と高率で、レジデントの胆管挿管率は1年目28.2%、2~3年目に56%と、学年が上がるほど挿管率が上昇しております。
悪性疾患につきましては、術前の各種画像診断で臨床病期を決定した後に外科とのカンファレンスで治療方針を決定し、適切な治療を行っています。なかでも切除症例につきましては切除標本の膵管・胆管造影を行い、術前画像と病理組織を対比する検討会を超音波技師・内科・外科・放射線科合同で毎週行っており、その他定期的に若手医師向けに画像診断や内視鏡手技について勉強会を開催し、画像診断・内視鏡手技能力の向上に努めています。当院主導の臨床試験の他、全国で行っている多施設共同臨床試験にも複数参加しています。

平成29年度の診療実績

ERCP関連手技553件, うち内視鏡的胆道ドレナージ術(EBD) 131件(EMS 24、PS 107)。経皮的胆道処置(PTCDなど)15件、超音波内視鏡(EUS)検査(観察) 609件(ラジアルEUS 503、コンベックスEUS 106)、EUS-FNA 94件、Interventional EUS 27件

内視鏡装置

側視鏡:JF-260V、TJF-260V、TJF-M20、経口胆道鏡:CHF-B260、経皮的胆道鏡:CHF-BP30、超音波内視鏡:GF-UE260、GF-UCT260、超音波内視鏡観測装置:EU-ME2、小腸ダブルバルーン内視鏡:EN-450BI5

炎症性腸疾患(IBD)部門

潰瘍性大腸炎、クローン病に最新の治療を行うと共に、全国多施設共同臨床研究にも参加して最新の情報を提供するように努めております。
当院では、軽症から中等症の活動性を有する潰瘍性大腸炎に対し、5-ASA製剤やステロイド製剤の他、血球成分除去療法を積極的に導入することにより比較的副作用の少ない治療法による寛解導入を目指しております。一方、重症症例に対しては、タクロリムスなどの免疫抑制剤やTNF-α抗体製剤などの治療法を用い、大腸全摘術を回避するよう努めております。生物学的製剤の登場により、IBD患者の予後、QOLは大幅に改善しましたが、その一方で難治症例の出現や医療費の高騰など様々な問題が挙がっております。そこで既存の治療を強化することにより、過度な治療強化を回避し、難治症例の発生を抑えることができないか検討いたしました。まだ後ろ向きの検討ではありますが、軽症または免疫調節剤併用しているメサラジン製剤抵抗の潰瘍性大腸炎患者において、サラゾピリン投与にて高い寛解導入率が認められ、さらに注腸療法や免疫抑制剤から離脱することが可能でした(11th Congress of ECCO, Amsterdamにて発表)。今後も新規治療薬だけでなく既存の治療薬をうまく使いこなすことで、患者さんだけでなく社会に貢献できるよう努める所存です。
クローン病については日本独特の厳格な栄養療法ではなく、ステロイドの他、免疫抑制剤や抗TNF-α抗体製剤を積極的に用い、できる限り日常生活を続けながら外来で治療できる体制をとっています。

最近の国内外の報告によると、炎症性腸疾患の臨床症状の改善を図るだけでなく、粘膜治癒が非常に重要であると報告されています。当院において粘膜治癒が得られた潰瘍性大腸炎症例の再燃率を検討した結果、粘膜治癒後1年、3年、5年の寛解維持率は87.9%、70.2%、63.8%でした(10th Congress of ECCO, Barcelonaにて発表)。従来の既報通り粘膜治癒後の長期予後は良好でありますが、決して無再燃ではありません。そこで‘完全’粘膜治癒を目指した寛解維持療法の構築が必要であると我々は考え、多施設共同臨床研究を立ち上げ模索検討していく所存です。

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