クレソンの会
2006.Nov.11
 今年の秋は11月に入っても暖かく、穏やかな晴天の日が長く続いていました。なのに、楽しみにしていたバスツアーの朝に限って、バケツをひっくり返したような雨。激しい雷の音で目を覚まし、テレビをつけると、天気予報では「降水確率90%」と非情なことを言っています。しかし、外は雨でも久しぶりにみんなに会えるうれしい気持ちに変わりはなく、楽しい1日になりそうな予感を胸に、早めに家を出て病院へと向かいました。
 病院のロビーで参加者の到着を待っていると、悪天候にもかかわらず、みんなイキイキとした姿で次々と集まってくれました。この日の参加者は33名。その内5名は初参加の方です。また、今回は乳腺外科部長の稲本先生も初めて参加してくださいました。
  休診日のため始めはひっそりとしていたロビーが、すぐにいつもの大騒ぎとなり、バスに乗り込む頃には、雨への不安はどこかへ飛んでいってしまいました。9時に病院前を出発したバスは、1時間半ほどで最初の目的地「神戸市立フルーツフラワーパーク」へ到着。記念写真を撮った後、昼食までの時間を、パーク内の温室でお花を見たり、果物やお菓子などのお土産を買ったりして過ごしました。この日のお昼は、久しぶりのバーベキューでした。大勢で一斉にお肉や野菜を焼いて食べるのは、何度経験しても楽しいもので、この日も大いに盛り上がりました。
 
 昼食の後、再びバスに乗り向かったのは、丹波立杭の伝統工芸丹波焼がテーマの公園「立杭 陶の里」です。まずは陶芸教室で、絵付けを体験しました。お皿の表面にやわらかい筆を使って絵を描くのは、予想をはるかに超える難しい作業で、あちこちから「えーっ」とか「きゃー」という悲鳴が聞こえてきます。見回すと、豪快なタッチで野菜の絵を描く人や細い筆を使って繊細な図柄を描く人などさまざまで、個性あふれる絵皿が次々とできあがっていました。これらのお皿は釉薬をかけて焼き上げた後、送ってもらえることになっています。この施設のもうひとつの楽しみは、丹波焼のすべての窯元が出品している「窯元横丁」です。小さく仕切られた50を超えるブースで、それぞれの窯元の作品が展示販売されているこのコーナーは、見て回るだけでも十分楽しいのですが、そこは買い物好きのみんなのこと、じっくりと時間をかけて吟味を重ね、お気に入りを見つけては買い求めていました。
 
 この日最後に訪れたのは、陶の里の隣に建つ兵庫陶芸美術館。美しい里山に瓦と白壁が映える広大な施設です。3つのフロアからなる展示棟でじっくり作品を見学する人、丹波焼の器で抹茶をいただけるお茶室へ一目散に向かう人、ミュージアムショップでお土産を選ぶ人、展望デッキから美しい景色を楽しむ人…、とそれぞれが思い思いに午後のひとときを過ごしたのでした。
  帰りの車中でマイクを回し、参加者ひとりひとりの声を聞くことがバスツアーの恒例になっていますが、今回は急きょ、稲本先生がみんなから質問を受け付けてくださることになりました。「腹部のエコーは必要なのか」、「手術の痕が痛むときはどうすればいいか」といった質問に、稲本先生は丁寧に答えてくださいました。
  結局この日は、天気予報に反してほとんど雨が降らず、傘をささずに過ごすことができました。低気圧をも脇へ押しやるクレソン・パワーかも…。いつもどおり、バスの中は始終居心地のいい空気に満たされ、移動時間が大変短く感じられました。後日、初参加の方たちから「一人で申し込んで参加したけれど、この日のうちに何人もの友達ができてうれしかった」「みなさんの前向きな姿に感動し、勇気づけられた」とのお便りが届きました。

よかった!またクレソンのムードを実感してくれる仲間が増えました。10回目を迎える次回の企画を考えながら、お皿の完成を楽しみに待ちたいと思います。