クレソンの会
2004.November.13
 第1回の実施から丸2年が経ち、今ではすっかり春秋の恒例となったクレソンの会の親睦バスツアーは、回を重ねるごとに人気が高まります。春のツアーの帰りの車内で、次の日程を半年後の11月13日と決め、みんなでこの日が来るのを今や遅しと待っていました。そしていよいよツアー当日。前日まで降り続いた雨が嘘のように上がり、朝から澄みきった秋空がひろがりました。今回の参加者は、患者の他に、胸部外科部長の瀧先生、6月に着任されたばかりの竹内先生、看護師の林さん、新谷さんら総勢43名。もちろん、富山先生もスケジュールを調整して駆けつけてくれました。
リピーターが多いのがこのバスツアーの特徴ですが、毎回新メンバーも加わります。今回は、術後20年近く経つ人から、退院後間もない人まで10人が初参加してくれました。この大人数に対応するため、初めて2階建てバスが登場! 広い車内も、出発前からみんなの熱気で一杯になりました。
    午前中の移動時間を利用して、瀧先生が2つのテーマで講演をしてくれました。ひとつは、「大腰筋を強くするトレーニング法」。大腰筋を鍛えておけば、“前かがみ”や“すり足”にならずに、いくつになっても姿勢の良い歩行が維持できるそうです。椅子などを使って家庭で簡単にできるトレーニング法が紹介された資料も配ってくれました。もうひとつは、「乳がんのホルモン治療」について。ホルモン治療の歴史や最新の治療法、その効力など基礎知識を伝授してくれました。こんなことをバスの中でさりげなく実施してくれるなんて! クレソンの会を大切に思ってくださる瀧先生の気持ちを、本当にありがたく思いました。  
 やがてバスが到着したのは、和歌山県海南市の黒江地区。古くから紀州漆器の産地として知られた町で、わたしたちが訪れたちょうどこの日、年に一度の「紀州漆器祭り」が開催されていました。このお祭りの呼び物は、たくさんの出店が通り沿いに軒を連ねる「大漆器市」です。普段よりもかなり安い価格で販売されるとあって、クレソンの会のメンバーも、お椀やお盆、文箱など次々と掘り出し物を見つけては買い求めていました。お昼を過ぎて程よくおなかが空いた頃、和歌山マリーナシティの黒潮市場に到着。海に面したテラスでシーフードバーベキューです。新鮮なホタテやエビ、サザエ、マグロなどを盛大に焼いてはほおばり、みんなで大盛り上がり。デザートに特大ソフトクリームまでたいらげてしまいました。(・・・クレソンのみんなって、かなり食いしん坊かも?) 海産物などお土産の買い物もすませ、再びバスに乗り込み向かった先は、「和歌山県立自然博物館」。和歌山県の自然と生き物が紹介された博物館で、中でも「黒潮の海」という表題のついた幅15mの大水槽をゆうゆうと泳ぐ魚たちが圧巻でした。(水槽の中のクエを見て「クエ鍋何人分できるやろ?」だなんて、やはりクレソンの会は食いしん坊の集団だ!)
 
  気の置けない仲間たちと楽しく過ごした一日は、悲しいくらいにあっけなく暮れてしまいました。今回もみんなのはじける笑顔がとても印象的でした。特に、化学療法真っ最中の人や、再発に対して前向きに生きる人たちの姿勢にはいつも頭が下がります。その姿こそが周りのみんなを励ましてくれる、クレソンの会の元気の源なのかもしれません。
 クレソンの会では、補正下着や人工乳房、かつら、リンパ浮腫治療グッズなど、乳がんの手術を受けた女性に必要な商品の展示と説明会を、各業者のご協力を得て実施します。開催日時は12月25日(土)午前9時30分から午後3時まで、場所は北野病院5階のきたのホールです。

このイベントには、クレソンの会のメンバーも大勢集まる予定ですので、まだクレソンの会を知らない人や術後間もない人にもぜひ参加してもらいたいと思います。同じ病気を経験した人だからこそ分かち合える、力強い励ましや温かい思いやりなど、商品情報以上のものを必ず得ることができますよ!