2004.May.08
 クレソンの会の原点は、2002年11月に富山先生の呼びかけで実現した第1回バスツアーでした。それから1年半。3度のバスツアーで患者同士の親交は深まり、家族同然の友達もできました。この会の生みの親である富山先生が3月末で北野病院を退職され、お世話になった先生を笑顔で送り出そうとクレソンのみんなで送別会を開いたのが3月最後の日曜日。そのパーティーの席上で、春のツアーの実施を5月8日と決め、みんなでこの日がくるのを楽しみに待っていたのです。
  「クレソンの会のイベントに参加するととにかく楽しい!」ということは、過去3回のツアーで実証済み。初回からの参加メンバーや医療スタッフの勧誘のおかげもあり、今回の参加者はこれまでで最多の43名になりました。病院からは、胸部外科部長の瀧先生、看護師の川崎主任、林さん、新谷さん。そしてバスツアーのために、われらが富山先生も、もちろん駆けつけてくれました。
また、この日は実施4度目にして初めてお天気に恵まれ(瀧先生の自称「雨男」ジンクスは、この日見事にくつがえされたというわけです)、文句なしの青空の下、みんなを乗せたバスは滋賀県の湖東エリアを目指して出発したのです。
 病院前を出発するや否や、バスの中は大盛り上がり。これが、いつもの<クレソン・マジック>です。みんなの笑い声と止まらないおしゃべりをシャワーのように浴びていると、魔法にかかったように幸せな気分になれるのはどういうわけでしょう? 久しぶりにみんなに会えたのがうれしくて、おしゃべりに夢中になっていると、あっという間に最初の目的地、栗東市の「観光イチゴ園・サンシャイン・ヴィレッジ」に到着しました。この日のメインのお楽しみは「いちご狩り」です。ここのハウスでは、1メートルの高さに設置されたプランターでいちごが栽培されているので、歩きながら摘んで、洗わずそのまま食べられるのです。制限時間は30分ということでしたが、43人の参加者が、甘くてみずみずしいいちごを求めて一斉に摘み始めると、ものの10分ほどでハウス内のいちごの実はすっかりなくなってしまいました。
 いちごを一旦“別腹”におさめ、わたしたちは「びわ湖グルメリゾート鮎家の郷」へ昼食に向かいました。ここでは、鮎や合鴨など琵琶湖のならではの食材を使った昼食が用意されていました。グルメリゾートというだけあって施設内には加工食品を中心とした広いショッピング・ゾーンがあり、食後はみんなの大好きなお買い物タイムです。佃煮やお漬物、地酒やお菓子などを次々に試食しては、お土産をたくさん買い込みました。
この日最後の目的地「草津市立水生植物公園みずの森」は、三方を琵琶湖に囲まれた抜群のロケーションにあり、敷地内には色とりどりの花が咲いています。とりわけ、施設のテーマである水生植物を集めた「ロータス館」の中に咲くさまざまな種類のスイレンの花が美しく、その神秘的な姿に時間を忘れて見入ってしまいました。さらに、琵琶湖を見下ろすテラスに出て、さわやかな湖畔の風を受けながら、お茶やおしゃべりに思い思いの時間を過ごしたのです。
 帰り道は渋滞もなく、予定よりも早く病院前に到着しました。今回もまた、お互いに元気をもらい会ったクレソンのメンバーは、半年後の再会を約束し、満面の笑顔を残して帰っていきました。1年半前までは名前も知らなかった人同士が、半年に一度集まって出かけることが、こんなに待ち遠しい年中行事になるなんて、人生って本当に不思議です。

 もしも、まだクレソンの会を知らなくて、乳がんの手術や治療のことで悩んだり落ち込んだりしている女性がいたら、胸部外科の外来で会のメンバーを探してみてください。必ずその人が勇気をくれますよ。「クレソンの会」って、そういうところなんです。