2003.June.14
 「次のツアーはいつあるの?」「またどこかへ出かけましょう」と、春先頃から患者さんたちの親睦会への要望は高まるばかり。その熱いコールに応えて、6月14日、前回の開催からわずか7か月で第2回日帰りバスツアーが実現しました。今回の行き先は、うどんブームで全国の注目を集める香川県琴平町。本場で手打ちうどんを体験しようという企画です。
胸部外科の富山先生や看護師の川崎主任らの熱心な呼びかけのお陰もあり、患者さんと病院のスタッフ、そのご家族やご友人など総勢34人の大所帯ツアーになりました。
 朝8時という早い出発だったにもかかわらず、参加者は最初からパワー全開。バスの中はワイワイと賑やかで、次々とお菓子の袋が回されるさまはまるで修学旅行です。
明石海峡大橋と大鳴門橋を渡ってバスは四国へ入り、思いのほか早く目的地の「中野うどん学校」へ到着しました。学校というだけあって、ここでは全員が白いエプロンと帽子を身につけて手打ちうどんの講義を受けます。
麺作りの秘伝を教わり、実際にうどんを打って、おしまいに卒業証書と秘伝帳、そして麺棒をもらえるという楽しい趣向でした。その後、自分たちで打ったうどんで昼食会。コシのしっかりした麺とキリッと効いたかつおだしに、みんな大満足の様子でした。
 讃岐うどんを満喫し、お土産もたくさん買って、大いに盛り上がる参加者を乗せたバスが大阪へ近づく頃、座席の間をマイクが回されてフリートークが始まりました。それが、今回のツアーで最も心に残る場面になりました。
 「薬を使って治療してくれるのは先生、そして元気になろうと努力するのは自分自身の気持ちです」と話してくれたのは、再発のため寝たきりの状態から、化学療法や放射線治療の結果、快復してこの日歩いて参加してくれた女性です。勇気を出して次の一歩を踏み出した人の言葉に込められた深いメッセージに強く心を打たれました。また、この女性のように苦しい治療を克服して元気になった多くの参加者を見て、ためらっていた化学療法をこの時決心した女性がいました。みんなの明るい笑顔と前向きな姿が、他のどんな励ましよりこの人の勇気の元になったのです。同じ病気を体験した人たちが同じ時間を共有することが、こんなにも強い力を生み出すと知り、心を動かされたのはわたしひとりではなかったようです。
 楽しい時間はあっという間に過ぎ、やがてバスは病院前へ無事帰着。
「また必ず会いましょうね」と再会を約束して帰っていくみんなを見送りながら、「わたし、この病気になって良かった」と思いました。
心豊かな女性たちや、誠心誠意治療にあたってくれる医療スタッフのみなさんにめぐり合えたことが、わたしの人生を奥深いものに変えてくれているんですもの。さっき別れたばかりなのに、「早くみんなに会いたいな」という想いを胸に家路についた、感動の一日でした。