臨床検査部研修プログラム
プログラム指導者 藤川 潤
1. プログラムの目的と特徴
1. 目的
必修研修で身につけた臨床医として共通の、検体検査、生理検査、輸血にかかわる基本的な知識・技術・態度をより確実なものにする。さらに、チーム医療の重要性を認識し、他職種・他科医と協調して医療を進める習慣をより確実なものにする。
2. 特徴
臨床検査部選択研修は、主に経験豊富な臨床検査技師の指導により、検査に関わる深い知識を身につけ、基本的な検査および検体採取を身につけていただく。また、臨床検査技師の参加する多職種合同チームのミーティングやラウンドに参加し、チーム医療を深く理解していただく。
2. 指導体制
研修医の指導は以下の体制で、当院医療スタッフが共同で行う。
- 日本超音波医学会認定超音波検査士、日本神経生理学会認定技術士、日本輸血・細胞治療学会認定輸血検査技師、日本臨床衛生検査技師会認定一般検査技師・血液検査技師、日本臨床検査同学院認定二級臨床検査士・緊急臨床検査士、等の資格を有する、ないし、5年以上の実務経験を有する臨床検査部所属の臨床検査技師に指導を受ける。
- 担当検査に関連する臨床科の医師にも必要に応じ指導を受ける。
- 臨床検査技師の参加するチーム医療に加わり、チームの他職種・医師の指導を受ける。
3. 具体的な到達目標
一般目標
- 検体検査および検体採取の基本的な知識と技能を修得する。
- 生理検査の基本的な知識と技能を修得する。
- 細菌検査および感染制御・抗菌薬管理の基本的な知識と技能を修得する。
- 輸血検査および輸血管理の基本的な知識と技能を修得する。
- 多職種と協調してチーム医療を行う。
- 検査に関わるカンファレンスに参加する。
行動目標
- 検体検査および細菌検査の基本的な流れを説明できる。
- 生理検査の基本的な流れを説明できる。
- 検体採取の基本的な流れを説明できる。
- 患者への生理検査、および、検体採取の説明や誘導を適切に行える。
- 検査装置を正しく扱い、精度の高い検査結果を導くことができる。
- 指導者に適切なタイミングでコンサルテーションができる。
- 他の医療従事者と適切なコミュニケーションがとれる。
- 患者の病態や検査前工程等を総合的に評価し、適切な報告書を作成することができる。
- 臨床医に緊急連絡すべき結果や注意を促すべき結果を認識し、適切な行動をとることができる。
- 検査・検体採取時の不安や苦痛を防止し、合併症や事故の防止への適切な配慮ができる。
- 検査に関わるカンファレンスに参加し、適切に症例提示ができる。
- チーム医療における問題解決のために必要な情報を収集し、多職種のチームメンバーに適切に伝え、討論することができる。
- 臨床検査における医療安全の考え方を学び、インシデントの予防・対応、感染制御の原則を理解する。
経験目標
A. 経験すべき検査・手技
- 心電図12誘導(記録、および、オーバーリード)
- 負荷心電図(トレッドミル)
- スパイロメトリー
- 超音波検査
- 神経生理学的検査(脳波など)
- 採血困難患者の採血
- 鼻腔からの検体採取
- 血液型判定・交差適合試験
- 輸血製剤の依頼および出庫の流れ
- 自己血採取装置の取り扱い
B. オプションで学習すべき検査・手技
- 末梢血・骨髄液鏡検
- 尿一般検査・尿沈渣
- 髄液検査
- グラム染色・鏡検
- 神経生理検査
- 腹部エコー
- 心エコー
- 血管エコー
- その他の検査については、個別に相談
4. 教育課程
- 原則として、上記A)は研修の前半、B)は研修の後半に学習する。
- 研修期間を通じ以下のチーム医療活動に参加する。 (日程は2018年3月現在、変更の可能性あり。)
- 感染制御対策チーム(ICT)ラウンド 毎週火曜日14時〜
- 抗菌薬適正使用支援チーム(AST)ラウンド 毎週木曜日 13時〜
- 栄養サポートチーム(NST)ラウンド 毎週木曜日 15時〜
- 感染症科の血液培養陽性介入 オンコール(午前中)
その他、研修医が参加して有益と思われる活動にも、自主的に参加するものとする。
- 腹部エコ-カンファレンス 毎週金曜日17時~
- 心エコーカンファレンス 毎週火曜日17時~
- マルクカンファレンス 毎週火曜日 16時45分〜
- 心電図ゾーンカンファレンス 毎週水曜日 業務終了後〜 (心電図、PWV、肺機能、SPO2等)
5. 評価方法
研修医の到達度に対する評価は研修時に指導に当たった臨床検査技師・医師等の意見と研修医の自己評価を参考に、指導医にあたる臨床検査部主任部長により上記のプログラムの各項目について行われる。