250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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① 新館建築と本館改修088田附興風会 医学研究所北野病院 第19代病院長(京都大学 名誉教授)2016年4月に北野病院へ着任してまず驚いたのは、新館の設計について院内での合意が全く取れていないことでした。新館を建築する計画があることは聞かされていましたが、設計段階で当時の病院長と副院長、事務部、看護部など現場サイドの意見が鋭く対立していることは全く知りませんでした。北野病院は本館が老朽化してきており、また放射線治療機器が修理不能となり本館での入れ替えができない状況のため、新しい建物を建築するか病院全体を新築移転するかを選択する必要がありました。新築移転は土地の確保(現在の医誠会国際総合病院の敷地を購入しないかとの打診は私が北野病院に勤務させていただいたのは、2016年4月〜2022年9月までの6年半になります。この間、本当にいろいろな出来事がありました。そのうち、① 新館建築とそれに続く本館改修 ② 事務組織の改変 ③ 新型コロナパンデミック対応の3つが代表的なものであったように思います。これらへの対応の間に病院の雑務に関わり、僅かに病院をより侵襲的治療を重視する方向に向けることが出来たか出来なかったかというのが私の6年半であったのでしょう。あったが、新病院棟建築には狭すぎる)が出来ず、また財政的な理由からも不可能なため、新館を建築することが自然な選択でした。最終的には現場サイドの意見を反映させる方針で新館が設計され工事が始まりました。しかし、予想していなかった地中埋蔵物(北野病院のあたりには旧扇町監獄があったため、地下から堅固な埋蔵物が出現した)が見つかり、工事が大幅に遅れることになり、その分、総工費も予算を大きく上回りました。しかし、その後に起こった建築費用の高騰を考えると、少しでも早く新館が完成したことは良かったと思います。2020年11月に新館が完成し、2021年2月から実使用が始まりましたが、当時はコロナ禍の真最中でお披露目の祝賀会を開催できなかったことは大変残念に思っています。新館完成後に本館にあった医局、事務部、別館にあった研究所などが新館に移転し、本館の改修工事が始まりました。診療活動に制限をかけない工事のため工期も長くなり、最終的に工事が完成したのは私が退職してからでした。ICUや手術部がどのような姿になったのかは目にしていませんが、最近になってTAVIの施設認定が取れたようで大変嬉しく思っています。𠮷村 長久北野病院での6年半

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