250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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006このたび、公益財団法人田附興風会(以下、「田附興風会」)が1925(大正14)年の創立以来、100周年を迎えられますことを心よりお祝い申し上げます。田附興風会は、実業家であった田附政次郎氏の「医学に関する総合研究を行い、もって学術、科学技術、文化の振興・発展に寄与する」という高邁な目的の寄付金をもとに、京都帝国大学(現・京都大学)医学部に創立された財団法人田附興風会医学研究所として出発しました。この名称は、医学部出身の京都帝国大学第7代総長荒木寅三郎による命名であったと聞いています。そして1928(昭和3)年には、田附興風会の使命たる医学研究事業の遂行のための臨床医学研究用病院が、新たに大阪の地に付設されました。府民に親しまれる平易な名称をという田附政次郎氏の希望に沿って、その地区名にちなんで医学研究所北野病院と命名され、今日に至っています。以来、田附興風会と京都大学は100年の長きにわたり、緊密な人的交流や研究連携を進め、自由闊達な研究と独創的な発想に基づく先進医療の開発と地域住民への安全で信頼できる医療の提供という理念を共有して共に歩んできました。今日、日本が抱える大きな社会課題のひとつが超高齢化であり、まさに世界に先駆けて人生100年時代に入りつつあります。この超高齢化社会にあっては、高度先進医療の開発もさることながら、地域に根ざした予防医療や老年期医療を含む地域総合医療体制の確立がますます重要になってくるでしょう。田附興風会がこれからも京都大学との強い連携協力の下に、次世代を担う優れた医療人の育成と、安心・安全な地域医療の推進において中核的機能を果たし、人々の健康と福祉の向上に大きな貢献を続けていただくことを心から祈念して、お祝いの言葉に代えさせていただきます。京都大学総長(田附興風会 医学研究所北野病院 第26代理事長)湊 長博公益財団法人田附興風会創立100周年に寄せて

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