高度成長期以降、全国各地に誕生した遊園地やテーマパークには、少子化や不況の影響で閉園を余儀なくされたものも多い。こうした中、異例の人気を誇っているのが、2006(平成18)年に日本第1号施設がオープンした子ども向け職業体験型テーマパーク「キッザニア」だ。楽しみながら仕事や社会の仕組みが学べるというコンセプトに注目が集まり、企業や行政などもこうした手法を取り入れるようになった。当院では、医師や看護師の仕事に関心を持ってもらうこと、地域の病院として親しみを感じてもらうことなどを目的に、2015年11月、医療のお仕事体験イベント「北野メディカルワンダーランド」を開催。24組の児童生徒とその家族が参加して、電気メスを使った手術や模擬採血、心臓マッサージ、心電図装着、車椅子利用などを体験した。白衣での記念写真撮影も大好評だった。以後、「北野メディカルワンダーランド」は、毎秋の恒例イベントとして定着し、規模も徐々に拡大。2019(令和元)年に開催された第5回は、総来場者数690人にも上る大盛況となった。そしてコロナ禍による3年間の中断を経て、2023年11月、4年ぶりに復活。申し込みが当初想定をはるかに上回ったことから、付き添い人数を制限し、手術体験を事前抽選とするなど、受け入れ体制を見直した上で開催した。当日は院内各所に全19の体験ブースが設けられ、700人を超える参加者が医療体験を楽しんだ。075「北野メディカルワンダーランド」利便性を高めるDX化の動きも相次いだ(2023〜2024年)。ガバナンス強化へ、新体制始動稲垣は1984(昭和59)年に京大医学部を卒業し、研修医や医員として当院に勤務した。その後、京大病院院長、先端医療研究開発機構機構長などを務めて病院経営や組織統括の手腕を磨き、当院初の常勤理事長に就任した。稲垣と大学で同期だった秦は、2002(平成14)年に小児科部長として当院へ着任。小児科救急医療の充実を図るとともに、小児科各専門領域において専門性の高い診療体制を整えた。また、若手小児科医の育成、論文発表などの学術面の充実に力を注いだ。2013年の副院長就任後は「断らない医療」を成人領域にも広げるべく、体制整備に尽力してきた。これまで当院の理事長は、京大医学部長が非常勤で務めるのが慣例だった。その慣例を破り、常勤の理事長を置いたのは、病院運営が複雑化し課題も多岐にわたる中、理事長・病院長の二頭体制でガバナンス強化を図るためである。こうした方針に基づき、2022(令和4)年10月、理事会の下に「法人本部」が設置され、管理部門を統括する組織体制を整えた。翌2023年6月、内部統制を強化するための「内部統制室」、外部有識者から法人運営への助言を得るための「アドバイザリーボード」を設置。2024年4月には医学研究を遂行するための「臨床医学研究推進本部」も新設された。働き方改革が進む役員改選から半年後の2023(令和5)年4月、新経2022(令和4)年10月、当院は役員改選を行い、第30代理事長に稲垣暢也が、第20代病院長に秦大資が就任した。100周年の節目に未来の医療人、大集合──お仕事体験イベントcolumn
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