250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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翌2022年7月、当院は大阪府知事より「大阪府小児中核病院」に認定された。小児医療の体制構築に関する国の指針に基づき、府が診療実績や医師数などの認定基準を設けたものである。大阪府内0722021(令和3)年3月、当院は大阪市消防局から感謝状を贈呈された。市の救急体制への長年の貢献が評価されたものだった。日本で1次・2次・3次救急医療体制が発足したのは、半世紀近く前の1977(昭和52)年。以来、当院は入院・手術が必要な重症患者を24時間体制で受け入れる「2次救急病院」として、地域医療を支えてきた。2001(平成13)年の新病院完成後はとりわけ救急医療に力を入れ、救急専従医師の配置、屋上ヘリポート設置、総合診療センター新設(現・初期診療センター)などを精力的に進めた。救急車の出動件数が年々増加し、いわゆる「たらい回し」も社会問題となる中「断らない医療」を全面に掲げたのは2011年。以後、救急車搬送の受け入れ数は着実に伸び、近年は年間約1万件で推移した。救急搬送を積極的に受け入れる姿勢は、コロナ禍でも遺憾なく発揮された。感染第1波渦中の2020(令和2)年3月、大阪府は他県に先駆けて「入院フォローアップセンター」を設置し、入院調整を一元化。当然ながら当院も同センターの調整に応じたが、それとは別に「飛び込み」で救急搬送されてくるコロナ患者も可能な限り受け入れた。その数は、ときにセンター経由の患者を上回るほどだった。コロナ禍がやや落ち着き、本館リノベーションによって救急部も拡充した2023年度、救急車搬送の年間受け入れ件数は約1万2,000件に達した。大阪市内はおろか、全国でもトップレベルの「断らない医療」である。アイセンター本館リノベーションに着手新館運用開始から3カ月後の2021(令和3)年6月、当院は次なる病院整備事業「本館リノベーション」に着手した。建設から20年を経た本館の機能強化と環境改善を目的とする大規模改修工事で、2021年6月から2023年9月まで、3年度にわたって実施された。まず2021年度は、新館移転で「空き地」となった箇所を中心に、診療機能の移転拡充を行った。具体的には、2019年に14年ぶりに開設した歯科口腔外科の増床(3階から6階へ移転、診察台追加)、化学療法センターの増床(1階から6階へ移転)、血液浄化センターの減床(4階から6階へ移転、環境改善)、眼科外来「アイセンター」の拡充(3階から5階へ移転、診療スペース拡大)、リハビリテーションセンターの拡充(4階から5階へ移転)、低侵襲センターの増床(地下1階でエリア拡張)、第3CT室の開設(地下1階に新設)などである。さらに8階のNICUとGCU(新生児回復室)では、超低出生体重児などの高度な医療サポートを必要とする患者に対応するため、エリアの大幅拡張や病床再編を実施した。また小児外科には、先天性のヘルニアを治療する「こどものヘルニアセンター」も開設された。救急車受け入れは年間1万件以上──コロナ禍でも「断らない医療」を実践column

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