3〜6階は医局や事務室に充てられたほか、3階には院内保育所が西館から移転した。2階には200新館外観071人以上が収容可能な「きたのホール」が完成した。1階はエントランスと、PET/CTやSPECT(シンチカメラ)を備えた放射線診断ゾーン、MRガイド下集束超音波治療装置(詳細前述)を備えたFUS/MRI室で構成された。集学的がん治療体制を確立本館と連絡通路でつながる新館地下1階は放射線治療センターとなり、2021(令和3)年5月から治療を開始した。手術療法、化学療法、放射線療法をはじめとする複数の治療法を組み合わせた「集学的治療」は、高度ながん治療を担う中核病院にとって不可欠の要素である。大阪府がん診療拠点病院の認定を受ける当院も、かねてより集学的治療の提供体制を整えてきたが、放射線治療の開始(2001年)から20年が経ち、設備の老朽化が課題となっていた。このため当院は、新館への移転拡張とともに人員増強も進め、2021年4月、放射線治療センター(腫瘍放射線科)を放射線科から分科。医学物理士、放射線治療認定看護師などの専任スタッフを加えた新体制を整え、翌月から治療を再開した。設備機器としては、がん病巣に集中して放射線を照射し正常組織の被ばくを低減する「高精度放射線治療システム」、子宮頸がんや前立腺がんの根治的放射線治療に有効とされる「小線源装置」のほか、X線/CTシミュレーターなどが導入された。また動体追跡治療、深吸気止め放射線治療など、最新機器を活用した新たな治療も開始した。同年10月、当院は新たに緩和ケアセンターを設置した。翌2022年1月、本館リノベーション(詳細後述)の一環として、化学療法センターを26床から34床に拡充。集学的がん治療体制がまた一歩前進した。コロナ禍の中、新館誕生新型コロナウイルスの感染第2波が下火となった2020(令和2)年11月、約3年の工期を経て「新館」が竣工した。工事関係者などが出席した定礎式では、妖怪アマビエの護符やマスクが定礎箱に納められ、建物と社会の安寧が祈念された。翌2021年3月、第3波の間隙を縫うように進められた移転作業が完了し、新館の運用が開始された。本館の南西、第2健診棟跡地に誕生した新館は、地上8階・地下2階(敷地面積2,169.78㎡、延床面積7,976.05㎡、建築面積1,063.73㎡)。本館とは一団地認定を受けており、地下通路で連絡している。外観は先進性と清潔感のある白を基調とした直線的なデザインで、半円形が特徴的な本館と好対照を成している。一方、公開空地を彩る植栽は本館との連続性が重視されており、周辺環境にも配慮した緑豊かな空間となっている。最上階の7階(8階は電気室・機械室)には、西館から医学研究所が移転した。研究所ではこれに合わせ、研究部門を従来の12部から8部(腫瘍/呼吸・循環/内分泌・代謝・腎臓/炎症・免疫/神経・感覚運動器/発達・再生/病態生理・薬理/保健・健康)に再編。環境も体制も整え、新たなスタートを切った。病院施設・治療体制の再構築
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