250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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0702021(令和3)年3月、当院は新館1階に導入したMRガイド下集束超音波治療装置を用い、「ふるえ」の新たな治療(FUS=集束超音波治療)を開始した。本態性振戦(原因不明のふるえ)とパーキンソン病は、手や頭部のふるえを主な症状とする脳神経疾患である。いずれも治療は薬物療法が基本だが、効果や副作用の問題が生じるケースも多い。外科治療としては、定位破壊術、脳深部刺激術などの手術療法があるが、高齢の患者には負担が大きく、選択肢に挙げにくいという課題もあった。FUSでは、超音波発生素子を埋め込んだヘルメットに患者の頭を固定し、ふるえの原因となる脳の一点に超音波を集束させて、神経の異常活動を抑制する治療法。従来の外科治療のように頭蓋骨の穿孔や、機器の埋め込みが必要ない「切らない手術」のため、高齢の患者も負担なく治療を受けられる。当院では1996(平成8)年に定位破壊術、2000年に脳深部刺激術による外科治療を開始するなど、かねてより本態性振戦やパーキンソン病、ジストニアなどの治療に力を入れてきた。またパーキンソン病は本来内科疾患であることから、内科・外科の連携にも積極的に取り組み、チーム医療で国内有数の治療実績を上げてきた。2020(令和2)年には新たに「ふるえ・パーキンソン病外来」を開設した。2021年のFUS開始は、このような実績を土台としたものである。内科・外科のさまざまな治療選択肢を提供できるニューロモデュレーションセンターとしては、西日本初の導入となった。頭髪の剃毛後にFUSフレーム装着位置設定と超音波照射治療前のふるえの状況MRI室で準備治療中のふるえの確認治療後のふるえの状況北野病院の先進治療② ~FUS(集束超音波治療)~column

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