HEPAフィルターを設置した病室0692021(令和3)年後半、デルタ株による感染第5波が半年近く続き、世の中はまさにコロナ一色となった。同年12月、今度はオミクロン株による第6波が広がり始めた。オミクロン株は第5波で猛威を振るったデルタ株の数倍も伝播性が高く、市中で、職場で、家庭内で、瞬く間に感染が拡大していった。厳密な感染対策が奏功し、それまでクラスターとはほぼ無縁だった当院でも、病棟クラスターが発生した。また家庭内感染や濃厚接触などで職員の出勤停止が相次ぎ、多くの診療科で欠員が続出した。こうしたことから翌2022年1月19日、当院はコロナBCPの「レベル2」を発動し、各診療科の新規入院を制限。一般病床約140床も休床してコロナ患者の治療にあたった。1月24日には臨時対策本部も設置された。2月21日、さらなる感染拡大を受けてBCPを「レベル3」に引き上げ、手術の延期・キャンセルなども実施した。3月23日のBCP解除まで、診療制限は2カ月余りに及んだ。2022年6〜9月、過去最大の流行となる感染第7波が襲来した。8月のピーク時、国内新規感染者数は連日20万人を突破し、臨時の宿泊施設や自宅での療養を強いられる人が続出した。移行、10月12日BCP解除)。2022(令和4)年10月〜翌年5月、感染第8波が押し寄せた。感染者数は第7波を下回ったものの、高齢者を中心に死亡者が多発した。翌2024年3月、新型コロナウイルス対策本部の終了が議決され、3年11カ月間に及んだ取り組みに一応の終止符が打たれた。この間、当院の新型コロナウイルス検査実施数は10万9,466件(2020年4月〜2024年3月)、発熱外来延受診者数は1万1,519人(2020年4月〜2023年10月)、コロナ病床延入院患者数は1万1,337人(2020年4月〜2024年3月)を数えた。一方、急激な感染拡大を受け、11階東病棟だけでコロナ患者を診ることが困難となったため、11階西病棟にまで病床を拡大した。さらに10階東病棟を発熱外来に充てるなど、病棟も「コロナ仕様」に再編された。コロナ専用病床は最大時で47床となり、来る日も来る日も懸命の治療が続けられた。正常化への道それでも政府は致死率・重症化率の低下、オミクロン株対応ワクチンの普及などを背景に、社会の正常化をめざす方向へ舵を切った。2023年1月には、COVID-19の感染症法上の位置づけを変更する方針も決定した。同年5月6日、WHOは「緊急事態」の終了を宣言。2日後の5月8日、日本政府はCOVID-19を結核などと同等の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」に変更した。こうした状況を受け、当院もアフターコロナ体制への移行を急いだ。感染第8波で再びクラスターが発生した際もBCPを発動せず、通常診療の維持を心がけた。感染波が収束した3月には個室入院の面会再開、職員の外食自粛解除など、行動規制も順次緩和した。5月の5類移行後は、通常診療の拡大を加速度的に進め、10月にはコロナ専用病棟を閉鎖。コロナ患者は各病棟の個室で診るようになった。11月には入院前コロナスクリーニング検査の条件も緩和した。BCP発動、通常診療を制限当院でも第6波以上にクラスターが発生し、職員の欠員は最大90人にも達した。このため7月14日、再びBCP「レベル2」を発動し、約2カ月間にわたって診療制限を実施した(9月22日「レベル1」へ
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