0682020(令和2)年、瞬く間に世界中に広がった新型コロナウイルス。未知の感染症に怯える日々は、「エッセンシャルワーカー」の重要性が再認識された日々でもあった。とりわけコロナ治療の最前線に立つ医療者には、温かい感謝の声と支援が寄せられた。感染拡大当初、マスクなど医療防護具類の不足が明らかになると、当院にもさまざまな方からの寄付品が届いた。普段からお付き合いのある企業・団体のみならず、有志グループや個人からの寄付も多かった。その品目もN95マスク、サージカルマスク・ガウン、フェイスシールド、消毒液、空気清浄機、衣料、食品・飲料など、多岐にわたった。寄付をしてくださったのは国内の人ばかりではない。2020年8月、日本ベトナム友好協会大阪府連合会を通じて「ドクちゃん」ことグエン・ドクさんからサージカルマスク3,000枚が贈られた。ベトナム戦争で散布された枯葉剤の影響で、結合双生児として生まれたドクさんは、日本の医師らによる分離手術を受け、現在もベトナムで活躍している。これまで何度も来日し、日本を「第二の故郷」と呼ぶドクさんは、テレビのニュースで日本の状況を知り、マスクの寄贈を思い立ったという。折しも感染第2波の拡大期、当院にとっても非常に有り難いご厚意であった。感染対策(11階東病棟)2020年の感染拡大当初、コロナ陽性者の多くは軽症・無症状のまま快癒すると言われたが、1年余りを経て、罹患後に倦怠感、呼吸困難、関節痛・筋肉痛、うつ・不安、嗅覚・味覚障害といった後遺症を発症するケースもあることが明らかになってきた。発症事由や治療法は解明されておらず、総合的・長期的サポートが必要な場合も多い。コロナ後遺症外来の開設パンデミック発生から約1年後の2020(令和2)年末、イギリスで世界初の新型コロナワクチン接種が開始された。日本でも2021年2月から医療従事者を対象に、4月からは65歳以上を対象とする初回接種がスタート。その後ワクチンは広く国民に行き渡り、接種率は他国を上回るペースで推移していった。同年6月、当院は「新型コロナウイルス後遺症外来」を開設した。こうしたことから当院では、他院に先駆けて後遺症外来を開設。かかりつけ患者などの診療にあたるとともに、メディアなどでの情報発信も積極的に行い、後遺症への理解促進に努めた。その後、2025年2月までの後遺症外来の延受診者数は1,525人に達し、1年先まで予約が埋まる状態となっている。皆様の善意と支援に感謝!医療物資不足を救った寄付品の数々column
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