250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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(2006年〜)、きたの研究奨励金(2011年〜)など、研究成果に報いる制度も随時導入された。翌2019(令和元)年、研究所内に北野カデットセ ンターが設置され、公募で選ばれたカデット1期生4人が臨床研究をスタート。若手研究者育成の取り組みが本格的に始動した。0642013(平成25)年、医学研究所は免疫学の権威で九州大学名誉教授の渡邊武氏を特任研究指導者に招いた。優れた研究所メンターを迎えることで、若手研究者の育成を促したいという思いがあった。2016年には医学研究支援センター(品質管理室、データ管理室、研究補助員室、CRC室、運営企画室の5室で構成)を新設し、研究者が研究に打ち込めるようなサポート体制を整えた。年間優秀論文表彰そして2018年、医学研究所は新たに「北野カデット」制度を開始した。カデットとは英語で「士官候補生」を意味し、次世代の医学を担う優れた医学研究者を育成したいという強い願いが込められている。研究意欲旺盛な若手研究者(43歳未満の大学院博士課程修了者)を毎年数人採用し、臨床経験を積む場と研究を継続できる環境を提供する3年任期のプログラムとして、京大医学研究科との連携・協力の下で実施される。同年10月、研究運営体制強化を図るため、これまで病院長が兼任していた研究所長を専任職に変更した。初代専任研究所長には、武藤誠京都大学国際高等教育院特定教授が就任した。同じく2018年、財団創立90周年記念事業として、研究所が移設予定の新館建設が始まった(詳細は次章参照)。ミッション達成をめざしてさまざまな課題意識に基づき、2000年代以降、医学研究所の体制再編や環境整備が精力的に進められた。まず2001(平成13)年の新病院棟建設を受けて、研究所は旧本館地下から西館に拡張移転した。2004年には治験管理センターの設置、薬カンファレンスの開始、研究者向けオリエンテーション資料の作成といった基盤づくりが相次いで行われた。2008年、研究部を従来の5部体制(1:感染症、2:癌、3:臨床病態、4:神経疾患、5:遺伝子診断・治療)から、10部体制(1:癌、2:心・血管・肺・血液障害、3:代謝・消化栄養・体液平衡障害、4:免疫・アレルギー・感染・病理、5:精神・神経・感覚・運動器障害、6:発生・再生・発達障害、7:生体画像・医療機器学、8:予防・医療免疫・検査医学、9:薬学・生理学、10:看護学)に再編した。各診療科との関連性を明確にし、研究員の帰属意識や研究意欲を高めるのが目的だった。その後、2つの研究部が設置され(11:医療情報管理・経営企画=2012年新設、12:東西医学=2013年新設)、12部体制となった。また利益相反委員会の設置(2009年)、研究実施管理者の招請(2013年)、動物実験施設のクリーン化(2012〜2014年)、超低温保存臨床検体データベースの構築(2013年)、研究不正行為規定の作成(2016年)など、研究体制の充実や透明性確保の取り組みも進めた。研究者を支援・育成する

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