250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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化学療法センター0592009年4月、大阪府は国指定のがん診療拠点病院に加えて、独自の拠点病院を認定する「大阪府がん診療拠点病院」制度を新設し、がん診療機能の高い23病院を認定した。当院もその認定を受け、一層診療体制整備に力を注ぎ始めた。また、全国がん登録に先行して拠点病院などで実施されていた「院内がん登録」も開始し、当院での診療や研究にも活用するようになった。2013(平成25)年、当院は化学療法(抗がん剤治療)を専門とする腫瘍内科を新設した。2階中央処置室内にあった外来化学療法室は1階健診部跡地に移転し、14床から26床へと大幅に拡充された。翌2014年、腫瘍内科は化学療法センターに名称を改め、各診療科と連携してチーム医療を推進していくこととなった。2015年、理学療法士・作業療法士を中心メンバーとするがんリハビリテーションチームが結成され、院内勉強会などの取り組みを始めた。遺伝性疾患サポートチーム、リンパ浮腫教室、患者サロン「ほっこり会」なども相次いで発足。2018年には、がん相談支援センター(旧・がん診療連携相談支援センター)が本館1階入口近くに移転し、より多くの人が利用しやすくなった。新設した。放射線治療の開始、相談支援センターの新設、化学療法センターの拡充など、2000年代から順次進めてきた取り組みを礎に、総合的・横断的な診療体制のさらなる充実を図るのが目的だった。同年、新たに緩和ケア科も開設し、患者のQOL(Quality of Life=生活の質)向上にも一層力を注いだ。同じく2019年、当院は近畿ブロック「小児がん連携病院」の認定を受けた。小児がんは種類の多様さと患者数の少なさから情報集約が難しく、適切な治療を実現しにくいという課題がある。その打開策として設けられたのが、小児がん拠点病院制度(厚生労働大臣指定)である。近畿ブロックでは京都大学医学部附属病院、大阪市立総合医療センターなど4病院が指定されており、当院は上記2病院と連携し、質の高い小児がん医療を提供する役割が求められている。地域医療支援病院として2000年代、増大する医療費の抑制、地域格差の是正などを目的に、医療機関の機能分化や地域連携を促す動きが一段と加速した。当院も「地域医療の中核的機能を十分に発揮しうる体制の確立」をエクセレントホスピタルの一要素として掲げ、病診連携や相互紹介率の向上に注力した。がん診療体制を確立そして2019(令和元)年、当院は院内のがん診療を統括する組織として「がん診療センター」を地域とともに、社会とともに

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