250703_北野病院100年史_並製本_単ページ
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ク(2011年開設、2021年閉院)、クリーンルーム増床(2011年)、3D画像解析システム、内視鏡手術支援ロボット「ダヴィンチ」(2013年)、X線デジタル透視撮影装置(2015年)などである。ダヴィンチSi057このうち、医師が3Dモニター画面を見ながらロボットアームを遠隔操作して切除や縫合を行う「ダヴィンチ」は、2009年に国内で認可され、2012年に前立腺がん手術での使用が保険適用となった(その後適用範囲が拡大)。当院でも2013年にダヴィンチSiを導入し、泌尿器科が1例目の手術を実施。2018年には最新鋭のダヴィンチXiに更新し、消化器外科や産婦人科でも使用されるようになった。2012年、当院は厚生労働省より「DPCⅡ群病院」の指定を受けた。DPC病院(急性期医療を担い、診療報酬包括評価制度の対象となる病院)のうち、Ⅰ群=大学病院本院に準じた機能を有するとして、全国90の病院を指定したものである。2018年には「DPC特定病院群(旧Ⅱ群)」に指定され、現在に至っている。チーム医療で患者に寄り添う当院が新病院棟での診療をスタートした2000年代は、高齢化の進展などによる疾病構造の変化を受け、国の健康施策や人々の意識が大きく変わった時代でもある。当院もこうした流れを受け、看護師が患者のニーズにきめ細かく寄り添う「看護外来」を開始。禁煙支援外来、糖尿病療養支援外来、腎臓病指導外来、フットケア外来、ストーマ外来、リンパ浮腫外来、同種移植後外来などの看護外来を充実させていった。一方、入院患者に対しては、さまざまな職種のスタッフが連携し、疾病の快復促進や重症化予防に取り組む「専門医療チーム」を導入。2010年の呼吸ケアチームを筆頭に、感染制御チーム、抗菌薬適正使用支援チーム、褥瘡対策チーム、認知症ケアチーム、口腔ケア・嚥下リハビリチーム、糖尿病サポートチーム、栄養サポートチーム、精神科リエゾンチームなどが順次発足した。1950年代以降、日本人の3大死因である悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患は、加齢に伴い発症しやすくなることから、長く「成人病」と呼ばれてきた。しかし、食生活や運動習慣、飲酒、喫煙などとの関連性が明らかになり、1990年代末頃から「生活習慣病」に置き換わった。2000年代に入ると生活習慣の改善による疾病予防がより重視されるようになり、2003年に健康増進法が施行。受動喫煙対策が努力義務となった。2008年には内臓脂肪症候群に着目した特定健康診査、いわゆる「メタボ健診」もスタートし、人々の健康志向を後押ししている。

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