056上海プロジェクト国の中でも際立って成長著しく、日本からも多くのビジネスパーソンやその家族が赴任・在住していた。こうした人々の診療を通じて疫学調査と医療サポートを行うのが当院のミッションである。プロジェクトの中心的役割を担った武曾惠理腎臓内科部長は、数十回にわたって訪中し、崋山病院の医師とともに外来診療にあたった。また現地で入院療養する日本人をケアするため、看護師の長期派遣も実施された。センター化を加速山岡病院長の強力なリーダーシップの下、矢継ぎ早に進められた経営改革は、当院に確実な成果をもたらした。人員増強や設備投資の余裕も生まれる中、診療体制拡充に向けた動きが活発になった。この時期、当院が特に力を入れたのは「センター化」の推進である。内科・外科など診療科の枠を超えて、高度で専門的な医療を行うセンター化は、効率的かつ一貫性の高い治療の実現、診療科間の連携が密になるなど、患者・医療者双方にメリットがあるとして導入する病院が増加している。当院は1983(昭和58)年に神経センター、1998(平成10)年に脳卒中センターを開設するなど、かねてからセンター化を進めてきたが、2000年代以降、それがさらに活発化。女性骨盤外科センター(2005年)、消化器センター(2006年)、心臓センター、呼吸器センター(2007年)、糖尿病内分泌センター(2008年)などが相次いで開設されたほか、神経センターも再編成された(2008年)。また、2009年には初期診療を担当する総合内科が新設され、救急部とともに総合診療センターを構成した(2017年より初期診療センター)。DPCⅡ群病院へ財政状況の改善を受け、最新医療機器の導入、検査体制の拡充なども相次いだ。胎児心エコー検査開始、カテーテル・アブレーション治療用「カルトシステム」(2008年)、産婦人科用4D超音波診断装置(2009年)、眼科用手術顕微鏡「OMP Lumera700」(2010年)、当院附属画像診断クリニッ2010年代以降もセンター化の動きは継続し、腎泌尿器センター(2013年)、漏斗胸センター(2018年)などが開設された。一方、2007年に開設された心臓センターはその後、循環器内科、不整脈科、心臓血管外科に分科するなど、再編成も図られた。2006(平成18)年、新病院内にICU(集中治療室)8床、SCU(脳卒中集中治療室)3床、CCU(循環器疾患集中治療室)4床を開設した。 2001年の竣工時に新設したNICU(新生児特定集中治療室)も6床から9床に増強するなど、高度急性期機能の充実が図られた。高度医療の基幹病院へ
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