増築された西館049建築委員会が発足。20回以上の委員会を開いて設計仕様を煮詰め、翌1980年4月に着工した。西館竣工、最新機器も続々さらに当院はこの時期、最新医療機器の導入も精力的に進めた。まず、西館増築に先立つ1977年、全身用コンピューター断層撮影装置「CT-FM5005型」を設置した。現在では全国津々浦々の医療機関に広く普及しているCT装置だが、日本に初導入されたのは1975年。イギリスのEMI社が開発した頭部用CTを東京女子医科大学が採用した。翌1976年に全身用のCT-FM5005型が開発され、当院設置は1977年1月だから、極めて早期の採用である。1981(昭和56)年3月、待望の増築工事が竣工した。新たに誕生した西館は、地上6階・地下1階、建築面積1,224.68㎡。地上約10mの4階部分には、旧館(中新館)と往来できる連絡通路が設けられた。地上階のうち、2・3・5階には主に病棟が配置され、病床数は741床(稼働床718床)と200床近く増加した。ICU(集中治療室)8床、CCU(冠動脈疾患集中治療室)4床、SCU(脳疾患集中治療室)4床、クリーンルーム2床、人工透析室18床なども各階に完備された。また、中央手術部は新館地下1階から西館4階に移され、手術台も10台に増強された。1980年には核医学検査装置「ガンマカメラ」が導入された。また、西館竣工時には、CCU用冠状動脈撮影装置、電子走査型超音波診断装置、ジャイロスコープX線TV装置、脳神経外科手術用顕微鏡装置、レーザー光線網膜凝固装置、自律神経検査用双眼イリスコーダーなど、さまざまな機器の採用・更新・追加設置を行い、より質の高い地域医療・救急医療の提供体制を整えた。再開30年目の将来像当院が西館増築工事に着工した1980(昭和55)年は、GHQの接収解除・再開院から30年という記念すべき年でもある。同年11月には『創立52周年・再開30周年記念史』も刊行されたが、長石忠三病院長は巻頭に掲載された「発刊の辞」の中で、当院の将来像を次のように語っている。ひとつの総合病院の中に小型の何々センターといったものをいくつも作り、院内におけるそれら相互の配置をもよく考え、斬新な組み合わせによる多彩な小センターがいくつも寄り添って一大総合病院を形成するまた、翌1981年3月に発行した『西館増築記念冊子』の中でも、同一フロアに互いに密接な関係を有する複数の診療科病棟を置き、分析と総合とのバランスがとれるよう配慮したと述べている。その言葉どおり、西館2階には脳神経外科と神経内科病棟、3階には循環器系内科と胸部外科病棟がそれぞれ南北面に配置され、中央部に処置室や詰所を置く機能的なコア様式が採用された。西館増築と前後して、診療科の分離独立や再編も実施された。まず1979年、臨床検査部の病理組織検査室が臨床病理部として独立。翌1980年には高齢化社会を迎えて
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